フリーランスや中小企業の社長が、
「住宅ローンを組んで家を買おう。」としているときには、
事業で融資を受けているメインバンクから住宅ローンを借りたほうがいいといえます。
住宅ローンを組んで家を買おうと思う気持ちはわかる
「いまの家が手狭になってきたし、家賃も勿体ないから住宅ローンを組んで家を買おう。」
と考える事業者の方もいることでしょう。
そして、その住宅ローンは住宅販売会社の提携先で借りたり、
金利を重視してネットバンクなどから住宅ローンを借りるという選択肢もあるもの。
その住宅ローンは「72の法則も意識しながら借りるべき。」
といわれるように、借入期間が長期になるので金利水準などには、注意しておいた方がいいとはいえます。
ただ、事業を営んでいるのであれば「事業のメインバンク」で住宅ローンを借りるべきです。
社長の住宅ローンは事業のメインバンクで借りた方がいい理由
それでは「社長の住宅ローンは事業のメインバンクで借りたほうがいい理由。」について挙げていきます。
事業用資金の融資が受けやすくなるから
「銀行が融資をする際に重視すべきポイントは、保全(担保)を取ることだ。」
といわれるように「銀行が融資をする際には担保内容を重視して貸す。」という傾向が多いということはあるものです。
とはいっても「うちの会社には担保と呼べるものなんてないよ。」というような中小企業も多いといえるでしょう。
その担保がない中小企業が銀行融資を受ける際には、信用保証協会などを利用することで、
「銀行としては担保を取り融資をしている。」ということとなっているのです。
なので、銀行が中小企業に融資をする際には「担保を取れる信用保証協会付きの融資。」を好んで行うといえます。
「なんだよ。」
「銀行は事業性が大切だとか言いながら、結局のところ担保の内容で融資をしているのかよ。」
ということを思われることもあるでしょう。
しかし「担保を重視する。」というのは、日本の銀行融資のひとつの特徴だといえるものなのです。
そして、その担保には「社長の自宅。」というものも、
「十分な担保となる。」と銀行は考えているといえます。
銀行の事情とすると住宅ローンというのは、
「事業資金の融資よりも相対的に金額が大きくなる。」ので、旨味があるともいえる融資商品なのです。
また、その住宅ローンというのは「不動産担保」を銀行が手に入れることにもなります。
すると銀行としては、社長がじぶんの銀行で住宅ローンを受けることで、
「長期間に渡り利息収入を得られ、不動産担保を提供している会社。」だということを考えるといえます。
このように社長が事業のメインバンクで住宅ローンを借りることによって、
「この不動産担保と利息収入は、他行には渡したくないもの。」という考えが銀行側には働くといえます。
なので「この会社は社長がうちで住宅ローンを借りているから、決算内容が悪くても今回は融資をしておこう。」などということを、銀行が考えることになるといえます。
プロパー融資が受けやすくなるから
事業のメインバンクから住宅ローンを借りていると、
「それほど業績が良いわけでもないのに、プロパー融資が受けられた。」ということもあり得るといえます。
銀行が事業用資金を融資する際には、
「事業の将来性や決算書の内容から判断して融資を行う。」ということが基本だといえるものです。
とはいっても、銀行というのは預金者から預かった預金を元本保証して返すために、
「融資の貸倒れはなるべく防ぎたい。」 ということも考えているといえます。
だからこそ、担保となり得る「信用保証協会付きの融資」を中小企業に対してメインで行うという事情もあるのです。
ただ、社長の住宅ローンを事業のメインバンクから借りていると「プロパー融資が受けられる。」ということも少なくありません。
なぜなら「この不動産担保と利息収入は、他行には渡したくないもの。」と銀行は考えるからです。
そして、その住宅ローンが他行に借り換えられてしまうと、その銀行支店の融資目標の数値に届くことが難しくなるともいえます。
なので、住宅ローンを借りている経営者が営む事業に対しては、
「住宅ローンを他行に借り換えられたら困る。」というような考えが働き、
「住宅ローンを借りていない場合よりも、プロパー融資が受けられる可能性が高くなる。」ということもあるものです。
特に中小企業が多用する信用保証協会付き融資というのは、限度額があるもの。
その限度額が満額にならないようにするためには、
「受けられるならプロパー融資を積極的に受けておくべきだ。」といえます。
というように、住宅ローンは事業用のメインバンクで借りておき、
「プロパー融資の借入れを申し込む。」ということも、社長の資金繰り術として必要だといえるのです。
社長なら住宅ローン金利には多少の目をつぶる必要がある
住宅ローンというのは「借入期間が35年」にも及ぶ場合もあり、超長期の借入れだということになります。
すると「72の法則」というものを意識したほうがいいといえるでしょう。
「72の法則ってなに?」といわれれば、
「お金が2倍になる期間が簡単にわかる計算式。」というものだといえます。
その「72の法則」の計算式とは、下のようなものになります。
たとえば金利が2%の場合には、
ということで、
「金利2%で運用した場合には、36年間で投資金額が2倍になる。」ということを表しています。
これを住宅ローンに当てはめると、
「住宅ローンを金利2%で36年間借りると、購入金額の2倍の支払いになる。」ことになります。
「住宅ローンのような超長期の借入に関しては、金利が与えるインパクトはかなり大きい。」ということがいえるでしょう。
というように、住宅ローンに関しては「いかに借入金利を低くして総支払金額を下げるべきか。」
というようなことを考えなければならないものなのです。
そうすると住宅ローンは「金利が低い銀行で借りるべき。」だということになります。
しかし、不動産というのは銀行が好む担保のひとつです。
なので、事業を営んでいる場合には、
「金利が低いからあの銀行で住宅ローンを借りる。」
ということではなく「事業用の資金を借りやすい状態をつくるために住宅ローンを活用する。」
という姿勢でいくために、事業者の場合には多少の金利に目をつぶるべきだといえます。
まとめ
「年商が数千万なのにプロパー融資を受けている。」
というような社長は「住宅ローンを賢くメインバンクで借りている。」ということもあるものです。
なので、事業を営んでいるならば、
「事業のメインバンクで住宅ローンを借りる。」という必要があると認識しておきましょう。
まあ、住宅の購入に関しては思うところもあるのですが。。。
【おわりに】
銀行員のときに「住宅ローンがあるからプロパー融資を出している。」
ということは、よくあることでした。
ただ、そのことをいまいち認識せずに簡単に住宅ローンを借り換える社長もいたなぁと。
【一日一新】
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