「いつも協会付きだよ。」
ということには理由があるものです。
プロパー融資と信用保証協会付き融資
銀行融資を大きく2つに分けるとすれば、プロパー融資と信用保証協会付き融資に分けられるといえます。
信用保証協会付き融資というのは、
「中小企業が銀行などから融資を受ける際に各都道府県などの信用保証協会がその保証を行う」ことで、融資を受けやすくするというもの。
そして、プロパー融資というのは信用保証協会などの第三者機関を通さずに、銀行が直接融資申込者に対して融資をするというもの。
一般的には「プロパー融資を銀行から受ける。」というのはある程度難易度が高いことだといえます。
なので、多くの中小企業の場合には、プロパー融資よりも協会付き融資のほうが身近だといえるでしょう。
なぜ銀行員はあなたの会社に信用保証協会付き融資を薦めるのか3つの理由
それではなぜ銀行員はあなたの会社に信用保証協会付き融資を薦めるのかという理由を3つほど挙げていきます。
融資稟議が支店長決裁でいいから
銀行が融資を行う際には、支店長決裁の融資と本部決裁の融資というものがあります。
「簡単に融資が実行されるのはどっちか。」
といえば、支店長決裁の融資の方が簡単に稟議は下りるといえます。
「銀行の支店においては支店長が絶大な権限を持っている。」
ともいえますが、融資案件というのは毎日行なわれるミーティングで、
「進捗管理や融資案件の相談が行われており、支店の銀行員には融資案件に対して一体感がある。」
というのが、銀行の支店におけるひとつの実情だといえるかもしれません。
なので、支店長決裁の融資であれば、
「ミーティングの段階で支店長に否定されなければ、基本的にはその融資は実行される。」といえます。
とはいっても、支店長決裁というのは「その支店の格や支店長の実績などにより店舗ごとに決裁金額が異なる。」ということがあります。
しかし、協会付き融資の場合には、
「かなりの金額の協会付き融資が支店長決裁での稟議で済む。」ともいえなくはありません。
このように協会付き融資というのは、
「支店長決裁で融資が実行されることがほとんど。」なので、融資実行までの道筋が見えやすく取り組みやすいものだといえます。
融資実行までにそれほど労力をかけなくていいから
協会付き融資は、
「銀行だけではなく信用保証協会の審査を通さなければならないので、融資実行までに手間がかかる。」
ということもなくはありません。
とはいっても、銀行員というのは融資実行の可否が怪しいような案件であれば、信用保証協会の担当者に対して、
「この会社に〇〇円の融資は実行できそうか。」などというような打ち合わせをしています。
また、銀行における融資の稟議書というのは「一定量の文章を書かなければならない。」ということがあるものです。
特にプロパー融資などの融資稟議書の場合には、
「そこそこの長文を書き、なぜこの取引先にプロパーで融資を実行する必要があるのか。」という旨を本部にも示さなければなりません。
そして「文章で融資実行性について語る。」というのは、そこそこ重い労力が必要になるといえます。
しかし、協会付き融資というのは、
融資稟議書に「本件信用保証協会付き、諸経費支払資金。」
などというような文言を入れておくだけでいいということも(ちょっと極端ではありますが)。。。
「融資実行までの経緯や必要性を文章で示す。」というのは、銀行員にとって少なくないストレスになります。
それが「協会付き融資の場合には大幅に軽減される。」
というのも、銀行員が協会付き融資を勧める理由のひとつだといえます。
信用保証協会付き融資でないと融資が実行できない会社だから
協会付き融資は、
「支店長決裁で融資ができる場合が多く、担当の銀行員が融資稟議書を書く際にもそれほど手間がかからない。」ということを理由として、銀行員が勧めているといえます。
とはいっても「うちもプロパー融資を受けたいなぁ。」と考えることもあるでしょう。
「うちは黒字なのにずっと協会付きだよ。。。」と感じていることもあるかもしれません。
もし、プロパー融資を受けたいのであれば銀行員に、
「手間だけどこの会社にプロパー融資を実行したい。」と考えさせる必要があります。
銀行がプロパー融資を行なう際には一定以上の売上規模も必要だといえますし、事業内容を銀行員がよく理解している必要があるといえます。
また、業界の動向や財務状況といったものも、プロパー融資をする際には厳しく判断をしなければならないものです。
なので、プロパー融資を受けたいのであれば、
「一定以上の売上規模を目指さなければならない。」ということとともに、
「銀行にタイムリーに業績の開示をする。」ということも必要になります。
たとえば「運転資金の融資をして欲しい。」というような融資の申込みをする際に、
「試算表を渡さず、銀行別借入金一覧表や資金繰り表などはつくっていない。」
というような状態で、プロパー融資を受けるというのは無理でしょう。
「いやいや、試算表はきちんと提出しているよ。」ということもあるかもしれませんが、
「提出した試算表が3ヶ月以上も前のもの。」
というように古いものだとすると、それもプロパー融資を受けることが難しくなる要因だといえます。
銀行員がプロパー融資の稟議書を書く場合には、
「本部決裁の稟議書となる場合も多く、協会付き融資の稟議書と比べるとはるかに手間がかかるもの」です。
にもかかわらず、融資稟議書の助けとなる、
「直近の財務状況、将来の財務状況や事業計画などを伝えずに銀行員に対してプロパー融資をしてくれ。」というのは、 無理があるといえるでしょう。
もし「プロパー融資を受けられるような年商なのに、プロパー融資を受けたことがない。」
というのであれば「銀行員に対して常に事業内容を説明し、最新の財務資料を使い業績報告をする。」
ということをしていくべきだといえます。
銀行員は社長と違いサラリーマンです。
サラリーマンというのは「できる限り手を抜いて働きたい。。。」というようなことを考えているといえるもの。
なので、プロパー融資を受けたいのであれば、銀行員がその稟議書を書きやすいようなスルーパスを社長が出すべきです。
このようなことができていないので「ずっと協会付き。。。」だといえるかもしれません。
まとめ
プロパー融資を受けるためには売上規模も必要になりますが、
「銀行員に目利き力を発揮させるための協力。」を社長が行わなければ、事業性を評価したプロパー融資を受けるというのは難しいといえます。
【おわりに】
最近Amazonで本を買うと「そこそこの確率で少し折れ曲がっている。」ということがあります。
読みはじめてから折れたりするのはいいのですが、読む前から折れていたりするとテンションが下がるなぁと。
【一日一新】
FIFA22をオンラインで(やっと)