銀行融資の返済期間は、長くするほうがおすすめです。
返済期間は長ければ長いほうがいいと考えるべき
銀行融資を受けるにあたって、
「なるべく早く返したほうが銀行の評価も上がる。」
と考えて、返済期間を短くするという考え方があります。
返済期間が短いほうが、金利の支払合計額は少なくて済みます。
とはいっても、返済期間が短いメリットは「それくらい」です。
銀行員というのは、ひとりの担当者が相当数の取引先を担当しています(多い支店だと数百社も)。
そんな銀行員が訪問するリストにまず入れるのは、じぶんの銀行から融資が「ある」取引先になります。
融資が「ある」ために与信管理や既存先深耕取引として、ある程度頻繁に訪問し関係性を深めていくということになります。
それが、融資を完済した取引先が完済後しばらく借入をしていないと、
「銀行員から忘れ去られてしまう。」
ということがあります。
さらに、「うちの銀行からはもう借りないんだろうな」とも考え、足が遠のいてしまうということもあります。
特に担当者が変わってしまった場合などは、
「もう一度借りようと思って」も銀行としては、新規の取引先という扱いになってしまうということもあります。
そういったことを防ぐために、銀行融資というのは一度借りたら、
「もう事業は辞めたっ。事業縮小に動いていこう。」
となるまでは、完済せずにうまく付き合っていくということが現実的な選択ということになります。
そのうまく付き合っていく銀行借入れの鉄則は、返済期間は長ければ長いほうが良いということです。
返済期間を長くしないと損をする3つの理由
それでは、返済期間は長ければ長いほうがいい理由を説明していきます。
お金が減るペースを緩やかにすべきだから
資金繰りが悪くなる理由のひとつは、「銀行融資の返済期間を短くしている」ことが挙げられます。
たしかに返済期間が短いほうが、金利の支払額は少なくて済むので、資金的にメリットがあるような感じがするとおもいます。
とはいっても、返済期間が短いと1ヶ月あたりの元金の返済額は大きくなってしまいます。
たとえば、1,000万円を3年返済で借りた場合の毎月の元金の返済額は、
となります。
これが、5年返済で借りた場合の毎月の元金の返済額は、
となります。
3年返済の方が5年返済の借りた場合よりも、月々の元金返済額が111,000円多くなります。
年間の返済額にすると、1,332,000円多く返すということになります。
資金繰りというのは、支出をなるべく遅らせることが大切なこと。
特に借入元金の返済は経費にならずに、キャッシュアウトだけしていくものなので「利益は出ている」のにお金が足りないという、
「勘定合って銭足らず。」
の代表例となってしまいます。
そうならないようにするためには、返済期間を長くして月々の元金の返済額を低くすることで、お金が減るペースを緩やかにしたほうがいいのです。
金利はそれほどの金額ではないから
「返済期間は短いほうが、金利の支払総額が減るから短期間で返す。」
このような考えの社長は、意外に多いものです。
では、先程の1,000万円を金利1.5%で借りた場合でみてみると、
となります。
です。
たしかに、支払い金利の合計額は5年返済の方が150,000円多くなります。
とはいっても、この程度の金利の支払額は、事業を営む上では「それほどでもない」金額と言えるのではないでしょうか。
返済期間が短いほうが、元金の返済額のペースが早いので年間約1,332,000円のお金が出ていく、にも関わらず支払い金利の合計額は、総額で150,000万円ほど多いだけです。
「いやいや、でも返済期間が長いほうが借入金利は高くなるっしょ。」
とおもいますよね。それはその通りです。
だからといって、3年返済で1.5%の金利が5年返済になったとしても、その金利はせいぜい1.7%ほどでしょう。
5年返済で金利が1.7%だと、その支払金利の合計額は約432,000円です。
この金利差に着目するよりは、返済期間が短くてお金が出ていくスピードの方を注意すべきです。
途中で借り換えることを考えるべきだから
銀行融資というのは、
「事業を辞めようとするときまで借り続けるんだ。」
というスタンスで借りるべきもの。
なので、
「早く返そうと返済期間を短くして完済するスタンス。」
だと銀行に忘れ去られてしまい、再度融資を受けることが難しくなり資金繰りが苦しくなることにもなります。
なので銀行融資というのは、返済期間を長くして、
さらに「返済の途中で絶えず借換えをさせてもらう」くらいのスタンスでいき、必要以上にお金を減らさないと考えるべきです。
そして、事業の業歴が長くなればなるほど、銀行融資も何本かに増えているということもあるとおもいます。
そういった借入も、然るべきタイミングに、
「1本にまとめてもらい、再度返済期間の長い追加融資を受ける。」
というかたちで、資金繰りをしていくと、お金が減らない経営を実現できることになります。
また、返済に関しては会社の都合だけで繰上げ返済などもしないようにしましょう。
繰上げ返済というのは、「銀行の利益が減る」ことになり、銀行は期限の利益を失うというルール違反にもなってしまいます。
商売というのは、約束した通りに進めていく。
自社の都合だけで返済を決めれば、築き上げた信用をなくし、お金もなくすことになってしまいます。
まとめ
銀行融資の返済期間というのは、長ければ長いほど資金繰りが安定し、経営のリスクは低くなります。
「返済期間は、長ければ長いほどいい。」
「金利が高くなったとしても、返済期間は長くする。」
ということが銀行融資の基本方針です。
これを必要以上に、「金利は安く、返済期間は短く」としてしまうと、資金繰りが苦しくなることになってしまいます。
【おわりに】
ラーメンを食べるときに「ついつい」大盛りを食べちゃうので、大盛りにしないようにチャーシュー麺を頼むようしてみています。
でも、最近はとんこつラーメンより、うどんの方が好きかも。
これが歳を取ったということなのかなぁ。
【一日一新】
宮前商店 チャーシュー麺