銀行員が売掛金を確認している際に、
「勘定科目内訳明細書」では、どのようなことを確認しているのかについて書いていきます。

勘定科目内訳明細書を銀行員はかなり見ている
銀行員が「決算書を預からせて貰えませんか。」と依頼をすると、
「貸借対照表や損益計算書の部分しか渡してもらえない。」
ということは、少なからずあるものです。
そのようなときに銀行員の方から、
「法人税の申告書や勘定科目内訳明細書などの一式が欲しいんですけど。。。」
ということを伝えると、
「なんで全部見せなければならないんだよ。」と気分を害される事業者の方が一定数いるといえます。
しかし、そのような態度をとるのはやめたほうがいいでしょう。
なぜなら、銀行融資の際には「勘定科目内訳明細書などの確認は必須項目」だからです。
むしろ銀行員というのは「損益計算書や貸借対照表」よりも、
「勘定科目内訳明細書のほうをめっちゃ見ている。」ともいえるのです。
勘定科目内訳明細書や法人税や消費税の申告書を確認することで、
「あれっ。」といった決算書の不審点を確認することができるのも、銀行融資の日常風景ともいえます。
なので、銀行員から「決算書を見せて下さい」
というようなことを言われたら「決算書一式」を渡すようにしましょう。
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銀行員が売掛金の勘定科目内訳明細書で確認しているポイント3つ
それでは「銀行員が売掛金の勘定科目内訳明細書でこんなところを見ているよ」ということを挙げていきます。
売掛金の残高が前期の金額と全く一緒のものがあるかどうか
銀行員が売掛金の勘定科目内訳明細書を確認する際には、
「前期の決算残高と全く同じ金額はないか。」
というようなところを、よく確認しているといえます。
もし、前期の決算残高と今期の決算残高が同じ場合には、
「この売掛金は事実上貸倒れていて、回収が不可能な不良債権ではないか。」と判断することがあります。
このような売掛金があると、実態上の損益計算書や貸借対照表が悪くなるといえます。
なので、偶然に「前期の売掛金残高と今期の売掛金残高が同じ」という場合には、
銀行員に対して丁寧な説明をした方がいいでしょう。
何の説明もないまま、前期の残高と今期の残高が同じ金額だということを銀行員が発見した場合には、
「かなりの確率でその売掛金は貸倒れた不良債権」だと判断しているといえますから。
売掛金の明細のうち、その他の金額に異常に大きいものがないかどうか
売掛金の勘定科目内訳明細書を確認しているなかで、
「その他の金額欄」が多い場合も、銀行員の不信感が膨らむ要因だといえます。
たとえば「その他の金額には、回収が難しい不良債権の売掛金が含まれているのではないか。」といったことや、
「その他の金額欄が前期よりも異常に増えているし、売上債権回転率が悪化しているから粉飾をしているのではないか。」
といったことを考えます。
だからこそ、銀行員から「売掛金残高のその他の明細を見せて欲しい。」
と質問を受けた場合には、積極的にその内訳を開示していくべきです。
なので、決算書を作成する際に「その他の金額」は、あまり多額にしないほうがいいといえます。
もし、その他に該当する金額は、
「かなりの取引先数によって合計額が大きくなっている。」というのであれば、
銀行への決算説明の資料として「その内訳を予め示しておく」ということも、ひとつの手です。
「これは粉飾か。」
などと、つまらない疑いを受けても仕方がないといえるでしょうから。
売掛金の先に倒産している取引先があるかどうか
銀行員が売掛金の中身で確認していることのなかには、
「勘定科目内訳明細書の中にある取引先が倒産していないかどうか。」といったことや、
「過去の決算書に登場しなかった取引先などがあった場合」には、信用調査なども行なっていたりします。
どのように信用調査をしているのかといえば、
帝国データバンクなどから財務情報を取り寄せて確認をしているといえます。
「この売掛先は実質的に倒産をしているけど、バレないだろう。」といったことや、
「この売掛先は実際には世の中に存在していない会社なんだけど、気が付かないだろう。」
と思っていても「結構な確率で銀行員は把握している。」ということになっているものです。
このような場合にも「見つからないっしょ。」という姿勢でいるよりは、
決算報告などの際に「新規取引先」がある場合には銀行に伝えた方が良いといえますし、
「実質的な倒産に陥っている取引先」があるなら、銀行員に伝えたほうがいいといえるでしょう。
なぜなら、決して銀行員というのは敵ではありませんから。
まとめ
銀行員というのは、勘定科目内訳明細書をかなり詳細に見ているものです。
そして、その勘定科目内訳明細書などで不審な点を発見すると、
「じぶんの決算書を見る目が上がってきたなぁ。」
などと悦に入っていることもあるといえます。
だからこそ、勘定科目内訳明細書などの附属明細書を、
「銀行員はかなり見ている」と考えて銀行対応をしていきましょう。
【おわりに】
銀行員だったときに「売掛金が前期と同じ金額」というパターンは、結構多い印象がありました。
仕事をしたのに回収できないというのは、厳しいことだよなぁと。
【一日一新】
あること


