バンカーにバンカーとしての誇りを持って働いてもらうためには、メインバンクをつくるべきです。
銀行員にとっても会社にとっても、メインバンクはありがたい
もういまの時代、メインバンクなんて必要ないという話しがあります。
銀行融資の際によく聞かれる、「メインバンク」という考え方。
たしかに中小企業経営者の方が、資金繰りや銀行対応に悩んでいるというのは以前よりも少なくなっているようです。
金利も信じられないほどの低金利が進み、国家政策として中小企業政策が推進されているので、銀行対応に悩まなくてすんでいるかもしれません。
そのようななかで、いまは銀行取引を複数の銀行と行なっているということが一般的なことでしょう。
しかし、複数の銀行と取引をしているとしても、「メインで取引をしているのはこの銀行だ。」
といえる銀行を作っておくことは必要です。
メインバンクを作るというのは、会社にとっても銀行にとってもメリットがあるものです
企業側にとっては、
- 資金調達の際に、ある程度タイムリーに融資が受けられる。
- 経営上の相談に、親身に乗ってもらえるということがあります。
銀行側にとっても、
- 安定した融資先を確保できる。
- 経営の危機危機管理を行い、迅速に支援できるということがあります。
銀行員が融資の際に、「メインバンクとして支援したし。」と稟議に書けるのは一定の効力があり、ありがたいことでした。
メインバンクじゃないと、プロパー融資をする際などに
「うちがメインじゃないのに、この先にここまでする必要はあるの?」
と審査部に冷たい言葉を投げかけられます(せっかく「今月の数字を達成できそうだったのに」となったりします。。。)。
またメインバンクは、あなたの会社が経営危機に陥っていて、他の銀行が手を引こうとしていても助けてくれるということがあります。
たとえばある会社が、「年商が10億円だったのに、業績不振により赤字で苦しみ、年商が3億円ほどまで落ち込んだ。」
といったような際でも、
「他の銀行は手を引いたが、お宅の銀行だけが助けてくれた。それも資金繰りだけでなく、販路も開拓してくれた」
というようなメインバンクが手助けをしたという話しは、よくあるものです。
さらに、そのように売上がそこまで落ち込んだ会社が、
「以前の売上やそれを超える業績にまで戻っている。」
ことをみるのは銀行員としても嬉しいものでしたし、実際によくあることです。
中小企業を経営しているなら、せめて「メインバンクはココ」というところを持っておくべきなのです。
メインバンクをつくる際に実践してほしい3つのこと
メインバンクを作る際に、うちは「御行をメインとして付き合っていきたいと考えている。」
といったことを言葉や態度で伝えておくことも大切です。
では、そんなメインバンクを作る際に意識していくことを確認していきましょう。
メガバンク(都市銀行)を選ぶのはやめましょう
まず、年商が20億円を超えていて上場を視野に入れていたり、海外支店があるなどの場合を除くと、メガバンクをメインバンクとして取引をしようとするのはやめるべきです。
中小企業の経営者の中には、年商が3億円ほどの会社でも、
「うちのメインは、メガバンクだから。」
とメガバンクがメインであると誇る方がいます。
しかし、メガバンクというのは、その辺の中小企業を支援しようという考え方は一切ありません。
融資をする際にも年商数億円の企業に対して、「わざわざプロパー融資をするということはありません(あっても業績が傾くと信じられないスピードで手を引きます)。」
すると、中小企業に対する融資取引の大半は、信用保証協会付きになります。
そのような取引をメガバンクと続けていると業績不振のなったときに、困ることになります。
それは、信用保証協会付き融資の枠が一杯で、新規に地元の銀行との取引を始めようとしてもそれは無理だということ。
信用保証協会付き融資は、無担保枠で8,000万円しかありません。
信用保証協会の枠は貴重なものです。
メガバンクは、融資量が一番多くてもメインバンクとしての行動は絶対に取りません。
貸し剥がしや、貸し渋りといった対応も早いです。
なので、中小企業がメインバンクとして取引をするメリットは少ないと意識しておきましょう。
年商が1億円程度でも、プロパー融資をしてくれる先を選びましょう
銀行員が一端のバンカーとなるためには、プロパー融資を実行できるかどうかにかかってきます。
プロパー融資とは、信用保証協会などの保証を付けていないので、銀行が本気であなたの会社を信用して融資をしているということです。
担保などの保証を取らずに融資をするということは、銀行もリスクを取っているからです。
その反面、あまりリスクを取らずに融資が出来るのが信用保証協会付き融資です。
融資残高が1番多く、信用保証協会付き融資しかない銀行。
融資残高は1番ではないが、プロパー融資もしている銀行。
この場合には、プロパー融資をしている銀行をメインバンクとして、取引をしていきましょう、
プロパー融資をしているということは、その銀行はリスクを取り、あなたの事業のパートナーになりたいと考えているということといえます。
せっかく銀行がパートナーになりたいと考えているのあれば、経営者としてもその期待に答えていくべきです。
定期的に経営報告をすべきですし、担当の銀行員とはコミュニケーションを多くとるべきでしょう。
また、信用保証協会の枠に空きが出たら、その銀行に信用保証協会付き融資も肩代わりをしてもらい、さらに厚く取引をしていくべきです。
銀行は、預金者には必ず元本保証で預金額を全額利息付きで、返さなければなりません。
融資残高が一番多いわけではない、あなたの事業を応援してくれている銀行には、リスク分散もさせてさらに取引を深めていきましょう。
口座内の取引を厚くしよう
銀行業の稼ぎ頭は、融資を実行したことによる利息収入です。
しかし、それ以外にも各種の決済取引なども銀行の貴重な収益源になっています。
「メインバンクにしたい。」
と考えている銀行にメインバンクだと認識してもらうためには、口座取引をしっかりと対応することが大切です。
売上入金の大半は、その銀行に入金をしてもらうよう取引先に変更を依頼する。
経費など各種支払いの決済取引を多くする。
こういったことが、メインバンクにメインバンクと認識してもらうためには必要な行為です。
預金残高が多くあるだけで、入金や決済取引がほとんどないと、
「うまく使われているだけだ。」と銀行は考えてしまい、
「うちをメインバンクとしては考えていないんだな。」
と判断されてしまいます。
決済取引があるからこそ、あなたの事業の深いところまで銀行は認識することができます。
預金取引だけだと、事業の実態が使いみにくので、メインバンクとしての行動に移しづらいのです。
事業の要は、信頼できるパートナーをつくること
人生を賭けて事業を営んでいるのであれば、「雨の日に傘を貸してくれる」パートナーをつくるべきです。
ある銀行をメインバンクとしてきちんと取り扱うと、経営に耳寄りな情報を貰えたりするものです。
また、地方銀行や信用金庫をメインバンクとして正しく付き合うことで、経営危機に陥ってしまっても救いの手を差し伸べてくれるものです。
誰彼かまわずいい顔をするよりも、
「銀行で信用しているのは御行だけだ。」
という姿勢を正しく示し、メインバンクをつくっていきましょう。
【おわりに】
お客様先に打ち合わせに伺うと、わたしの好きなものを覚えてくれていて、その次の打ち合わせ時にプレゼントしてくれたりということがあります。
「こんなじぶんが、こんなに良いものを頂けるなんて。。。」
と毎回恐縮していますが、本当にありがたいことです。
ひとの優しさに涙が出そうになるときがあります。。。
【一日一新】
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