自己資本比率を意識しすぎず、債務償還年数を意識した経営を行なっていきましょう。
自己資本比率は銀行員も確認している
「会社の財務体質を測るために最も重視すべき財務指標は自己資本比率である。」などということを聞いたりもするものかもしれません。
それこそ「自己資本比率は最低20%必要だ。」といったことや、
「自己資本比率が40%以上あると銀行評価は上がり資金調達で有利になる。」などといったことは、様々なデータを基に言われたりもするものです。
だからか「毎月の業績確認では自己資本比率が何%あるのか気にかけている。」という事業者の方も少なくないものでしょう。
たしかに、銀行員が決算書を確認した際には、
「この会社は債務超過じゃん。。。」などということがあると、融資実行までの難易度が上がってしまうこともあったりするといえます。
また、債務超過までではなくても繰越利益剰余金がマイナスの状態でも、
銀行員としては「協会枠が使える範囲で対応しよう。。。」と考えるので、プロパー融資を受けることが難しくなるものです。
なので、自己資本比率を無視した経営は銀行融資の利用においても不都合が生じるものだといえます。
銀行が評価している自己資本比率は決算書の表面上の数字ではない
「うちの会社は自己資本比率が高いから。」
と社長が誇っていたとしても、銀行員が認識している自己資本比率は決算書上の自己資本比率ではないものです。
銀行員が決算書を分析する際には、まずは決算書の数字を銀行のシステムに反映させ、
その後「銀行員の目利きで実態に合わせた数字に修正をしていく。」ということを行なっているといえます。
たとえば「ある取引先の売掛金が前期以前から金額が動いていないため不良資産として減額する。」
「棚卸資産で損益計算書を操作した形跡があるから、過去3期の棚卸資産回転期間の平均を軸に棚卸資産を評価し直す(評価減する)。」
「ゴルフ会員権の評価はゼロにする。。。」
などというように、粉飾決算の形跡を確認しながら自己資本比率を修正していくのです。
それこそ、決算書の分析が甘いと本部の担当者から、
「これでうちの引当金を決めるんだから、もっとちゃんと財務分析してよ。。。」と怒られたりもするので、担当の銀行員は丁寧に決算書を確認しているともいえます。。。
なので「自己資本比率を上げるため。」と財務上のあらゆる手を尽くしていたとしても、
「小手先の操作は修正され、銀行からの評価が下がり、資金調達も有利にならない。」といえるかもしれません。
自己資本比率よりも債務償還年数
自己資本比率が高いと「2期以上連続赤字でも銀行から高い評価を受けるものなのか。」といえば、そうではないといえます。
たしかに、銀行員が決算書を分析する際には、繰越利益剰余金をベースに自己資本比率を気にするものです。
とはいっても、銀行が決算書を評価する際に重視する財務指標といえば債務償還年数だといえます。
なので「自己資本比率も重要だけど、債務償還年数の軸となる利益の方を増やすべきだ。」というのが銀行融資対応では評価される決算書になります。
「たしかに利益を増やすことの大切さはわかるけど、そのためには設備投資や人材に投資をしなければならないよね。。。」と感じることもあるものでしょう。
そして、その投資を行なうには資金が必要になるといえるかもしれません。
また、必要な資金に対して銀行融資を受けると「総資産が膨らみ自己資本比率は低下する。」ということはあるものです。
ただ「会社に資金がないことによって事業成長のチャンスを逃す。」ということを続けていると、いつまでも利益が増えず事業は強くならないといえます。
それによって、銀行融資は「信用保証協会付きばかりでプロパー融資が受けられない。」ということも起こり得るものです。
「自己資本比率だけで融資判断をする銀行。」というのはなかなかないもの。
だからこそ、銀行が重視する財務指標は「債務償還年数 > 自己資本比率」だともいえるので、そのベースとなる利益は意識すべきだといえます。
「自己資本比率を高くするために、銀行融資をなるべく受けない。」などということをしていると、
いつまで経っても十分な利益のない会社という評価になり「有利な資金調達ができない決算書になっている。」といえるかもしれません。
まとめ
自己資本比率だけを意識しすぎた経営は避けるべきだといえます。
【おわりに】
「おっ、クルマ買い換えたんだ。かっこいいじゃん。」
などというように様々なお客さまから話題にして貰えて嬉しい日々を送っています。。。
【一日一新】
猫奥