「銀行融資の受け方が分からないから専門家に頼る。」
というのは悪いことではありません。
しかし「先に融資希望金額の〇〇%を振り込んで欲しい。」などという話は、詐欺だと考えたほうがいいでしょう。
銀行融資を受ける可能性は「支店長の紹介」があっても変わらない
銀行員が銀行融資の現場でときおり言われることが、
「おれは支店長と知り合いだから、簡単に融資を受けられるんだろ。」という言葉だったりします。
たしかに、銀行融資の仕組みのなかには本部への決裁を必要としない、
「支店長の決済だけで融資が可能となる支店長専決権限(店限)。」というものがあります。
この店限の場合には「支店長が融資実行の可否を握っている。」ので、支店長には絶大な権限があるともいえます。
なので「支店長さえ説得できれば融資が受けられる。」という可能性がないとはいえません。
とはいっても、支店長が持ってきた案件だったとしても「めくら判」で支店長が融資の決済をするということはないといえます。
支店長が知り合いから頼まれた融資の案件だったとしても、その融資稟議書というのは支店長が書くことはありません。
なぜなら「支店長が融資稟議書を書いて、それをじぶんで決済するというのは銀行の仕組みとして認められていないから。」になります。
その稟議書については、支店長以外の他の担当が付き稟議書くことになるのです。
そして、多くのまともな支店長の場合には、
「融資が実行できなさそうな財務内容であれば、無理に実行まで持っていかなくてもいいから。」
などというようなやりとりがされることになります。
ということで「事業内容や財務内容が悪い場合」には、支店長の案件だったとしてもその融資が実行されることはありません。
銀行の支店のなかでは、支店長というものは絶大な権力を持っているともいえますが、
「その権力を使って銀行業務の仕組みを壊す。」というような支店長はあまり存在しません。
「じぶんは支店長と知り合いだから銀行融資は確実に受けられる。」
などというようなコンサルタントが周りにいる場合には、気をつけた方がいいといえるでしょう。
また、同じように「あの政治家の口利きがあるから簡単に融資は受けられるだろ。」
ということも銀行融資においてはたいして効果はないといえます。
銀行融資を受けるために「事前にお金を振り込んで」は詐欺
銀行融資が受けられるかどうかに対して不安がある場合には「藁にもすがりたい」という気持ちになることもあるでしょう。
そのような心理状態の際には、
「詐欺などに巻き込まれる。」ということもあるので、気を付けるべきだといえます。
たとえば、1,000万円の事業資金の銀行融資を受けたい場合に、
「融資希望金額の20%ほどを先に振り込んでくれれば、必ず融資を受けられる銀行を紹介する。」
などという話しには注意すべきだといえるでしょう。
先ほどの事例で挙げたように銀行融資というのは、
「たとえ支店長への口利きをしたとしても、絶対に受けられるわけではない。」ものです。
そうすると「先に振り込んでくれれば。」と話を持ちかけた人物が、とてつもない権力者であったとしても、
「事業の決算書の内容が悪い場合には、いずれにしても融資が受けられる可能性が低い。」
ということにもなってしまいます。
このような銀行融資の仕組みを理解せずに、
「あの人は著名な人だから、頼んでおけば必ず銀行から融資が受けられる。」
というような期待を持ってお金を振り込んでしまうというのはやめておくべきです。
なぜなら「銀行融資が受けられず、お金もなくなってしまう。」
というように「さらに資金繰りの悪化を招いてしまう」ということにもなりかねないからです。
なので「銀行融資を必ず受けられるようにするから、先に手数料としてお金を払ってくれ。」
などというような話は「すべて詐欺。」だと考えておいた方がいいといえるでしょう。
銀行融資の相談は銀行員にしてみよう
「銀行融資を受けようと考えているんだけど、いったい誰に相談すればいいんだろう。」
というようなことを考えられている事業者の方もいるかもしれません。
その銀行融資の相談というのは、税理士の方が顧問に付いているのであれば、その方にしてもいいと言えるかもしれません。
しかし、その相談をした方が「無借金経営推進派の税理士。」だとすると、
「銀行から融資を受けたい。」と相談しただけにも関わらず、怒られてしまうということもあるでしょう。
なので「税理士に相談しても埒が明かない。」というようなことを感じたのであれば、
銀行に行って銀行員に直接融資の相談をすべきだといえます。
たしかに、銀行員というのはいくつかの職種に分かれているので、
「融資業務をメインに取り扱っていない銀行員の場合には、融資の相談をしたとしても色よい返事をもらえない。」ということもあるかもしれません。
とはいっても、事業の口座を開いている銀行に行き、
「事業資金として銀行融資を受けたいと考えている。」ということを相談してみましょう。
「銀行には手の内を見せない方がいいから、銀行に融資の相談をしに行かない方がいい。」
というような話もありますが、銀行というのは業務の柱として銀行融資を行いたいと考えているものです。
銀行に融資の相談に行くというのは、資金調達の王道だといえます。
その担当の方が仕事熱心な方であればあるほど、事業の相談や資金繰りの相談に乗ってくれるといえるでしょう。
また「じぶんの会社の年商は何十億円もある。」
という場合以外には、近くにある地方銀行や信用金庫、日本政策金融公庫に融資を申し込むべきだといえます。
書類は最低限用意しよう
預金取引や融資取引のある銀行に、
「融資の相談に行く。」際には、いくつかの書類を持って行った方がいいといえます。
銀行融資というのは多くの場合、
「決算書の内容と担保の余力。」というような部分で、融資の可否判断が行われるといえます。
だからこそ銀行融資を申し込みに行く際には、
「直近の決算書や試算表。」などというものは必ず持っていくべきです。
そして「なぜ決算書や試算表の内容がこのような状態になっているのか。」
というものをじぶんで説明する必要があります。
その決算書などの説明については「A4一枚ほどの簡単な説明資料」を用意しておくといいでしょう。
さらに「資金繰り表や銀行別の借入金一覧表」というようなものも持っていくと、なお良しだといえます。
このような資料を銀行員に見せながら、
「なぜ資金調達が必要なのか。」という資金使途を明確に伝えるようにしましょう。
「運転資金としての融資が必要なのか。」
「設備資金としての融資が必要なのか。」ということでも話の方向性が変わってくるといえます。
このように銀行融資というのは、
「決算書などの業績とともに資金使途の説明ができるかどうか。」で、受けられる可能性が変わってくるものです。
銀行融資というのは「お金を貸してくれ。」という説明だけでは受けることが難しいといえます。
「このような事情で資金調達が必要で、返済原資はこれになる。」
ということが説明できるかどうかによって、その銀行融資が受けられる可能性は変わってくるものです。
だからこそ普段からじぶんで経理を行い、じぶんの事業を数字で説明できる能力を身につけるべきだといえます。
まとめ
銀行融資というのは、たとえ有力者の紹介があっても受けられるとは限らないものです。
なので、得体の知れない方に銀行融資を頼むくらいなら、銀行にじぶんで行ってみましょう。
じぶんの事業に可能性がある場合には「融資を申し出る銀行。」というのは、きっと見つかるといえるでしょうから。
【おわりに】
日曜日にコロナワクチン2回目の接種をしたのですが、いまのところ副反応は何も起きていません。
このまま熱が出ないといいなぁと。
【一日一新】
あること