事業を営んでいるなら借金という名の銀行融資は、受けておいたほうがいいといえます。
「お金がある」というのは、想像以上に選択肢を広げることになるでしょうから。
借金と銀行融資は別物と考えよう
「借金なんかするから倒産するんだよ。」と、
銀行融資に対して「口出し」をする専門家というのは、一定数いるものです。
このような専門家からすると「銀行融資を営業している銀行員は悪だ。」ということになるのでしょう。
だからなのか、銀行員だったときに試算表などを税理士事務所に依頼をすると、
冒頭のような言葉を投げつけられたこともありました。。。
たしかに、借金をして気持ちが大きくなり、
「明らかにムダな資産や事業に必要ない浪費」をするような事業者であれば、
「借金をしないほうがいい。」ということも金言だといえるかもしれません。
しかし「借金をして得たお金なんて。。。」というは、言い過ぎだといえるでしょう。
そして、事業を営んでいるのであれば「借金」という言葉を使わずに、
「銀行融資を受ける」というように、
「事業資金の調達は、借金とは別の次元にあるもの」と考えていくべきです。
事業における「借金」はなぜしておくべきことなのか
それでは、事業における「借金」は、なぜしておくべきことなのかという理由を挙げていきます。
お金が増えると選択肢が増えるから
たとえ創業100年でも、創業3年だったとしても最終的に事業が行き詰まるのは、
「お金がなくなったから。」だといえます。
そのお金をなくさないために、銀行融資を受けてでも「お金」を持っておくべきなのです。
「預金残高がぎりぎりの状態で、資金繰りが事業のメインとなっている。」といったことや、
「本来はやりたくない仕事だけど、資金繰りのためにこの仕事をやるしかない。」
というようなことは、
「銀行融資を怖がり無借金経営を狙っている」と起こり得るものだといえます。
しかし「たとえ銀行融資を受けたことで持っているお金。」だったとしても、
お金があることで、
「やりたくない仕事に時間を使わなくてもいい」状態になることができるといえるでしょう。
「お金があるからじっくり営業をしていこう。」
「お金があるから、仕事を選んでいこう。」
ということができるのは、銀行融資を受けたことによる効果のひとつだといえます。
「銀行融資を受けることによってお金を持ち、事業の選択肢を増やし、心の安定を得られる。」
というのは、銀行融資を受けることで感じられるものです。
銀行との融資取引を継続しやすくなるから
銀行融資というのは、
「銀行と預金取引をしていると銀行員が融資の提案をしてくる。」というものでもありません(あることはありますが)。
「じゃあ、どうすれば銀行員が融資の提案をしてくるの。」
といわれれば、
「その銀行で融資を受けているから、担当の銀行員が融資提案をしてくる。」ことになるのです。
なぜなら銀行というのは、その銀行で融資を受けていることによって、
銀行からその融資先に担当者が付くシステムになっているからです。
担当者がいることによって、定期的な打ち合わせや決算書・試算表などを渡し、
銀行員とコミュニケーションを取ることができるようになるといえます。
そして、融資の担当者がいることで、追加の融資も受けやすくなるともいえるのです。
「銀行融資は黒字でなければ受けることはできない。」
といわれていますが、
「うちは赤字でも融資を受けられたよ。」という経験をされた方もいることでしょう。
なぜ、赤字なのに銀行融資を受けられたのかといえば、
「既存の融資を受けていることによって、その返済実績を評価されて融資が受けやすくなっているから。」になります。
たとえば、以前受けた1,000万円の銀行融資の返済が進み、残高が500万円になっている場合などには、
「その返済分の500万円」の融資を受けるというのは、それほど難易度が高くないものだといえます。
しかし、これがいままで無借金だと、
「たとえ黒字でも。」銀行融資を受けることが難しいということもあるものなのです。
新規の銀行とも融資取引をしやすくなるから
銀行融資というのは業績がよく見える無借金経営の会社よりは、
「それほど業績はよくないのに、複数の銀行から融資を受けている会社。」のほうが融資を受けやすいといえます。
たとえば、創業時に日本政策金融公庫で融資を受けている場合には、
「公庫が創業融資を出しているから、うちも民間金融機関として支援しておくべきだよな。」
といったような考えを、地方銀行や信用金庫などの金融機関は持つことになります。
また「この業績なのに他行が融資をしているということは、特別な技術を持っているのか。」といったことや、
「社長の個人資産が厚かったりするものなのか。」
といったような深読みが、銀行融資の現場で起こっているものだったりします。
なので「いままでは無借金だったけど銀行融資を受けよう」という会社よりは、
「いままで融資を受けたことがある会社」のほうが、新規の銀行でも融資を受けやすくなるといえます。
銀行員というのは、
「中小企業の決算書は簡単に操作できるもの。」
と考えているので、無借金経営の会社にはつまらない深読みをしてしまうものなのです。
そのような銀行融資を受けたことがない会社よりも、銀行融資を受けている実績がある会社の方が、
「あそこの銀行が融資をしているなら、うちの銀行でもこれくらいなら融資をしても大丈夫だろう。」
ということを考えるものなのです。
なので、融資を受けていると他の銀行からも融資を受けやすくなり、資金繰りは安定しやすくなるといえます。
まとめ
「実家が資産家で資金面での援助をしてもらえる。」
「遊びでやっている事業だから。」
といったような特殊な場合を除いて、
事業を営んでいるなら「借金」をしておく必要があるともいえます。
そして「一般的に言われている借金と、事業で受ける銀行融資は別次元のもの。」
と考えて、銀行融資は折をみて受けていくというスタンスで事業を営んでいきましょう。
【おわりに】
「他行が融資をしているから大丈夫。」
という考えが浸透してしまっているので「振り返るとありえない会社に融資をしている。」
といったこともあったなぁと。
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