売上高よりも粗利益。だけど粗利益だけを経営目標にするのもダメな理由

経営指標で大切なものは、「売上高よりも粗利益だ。」という言葉があります。

たしかにそうなのですが、粗利益だけを経営目標にしているのもよくありません。

緑を眺めるのも重要な経営目標。


赤字受注は避けるべき


「来期の経営目標は、売上高を前期比で10%増にしよう。」

といったように、経営目標として売上高を最重要指標に掲げるといったことは多いもの。

たしかに、お金を得るためには売上高が大きな収入源のひとつとなります。

だからこそ、売上高は一定程度上げておく必要があるといえます。

また、銀行融資においても、

「ある程度の売上規模がないと、いくら利益率が高くても追加融資は難しい。」

ということもあります。

とはいっても、売上高だけを追いすぎると、

「しまった。。。赤字受注じゃん。」

といったことも、きちんと計算してみるとあったりするものです。

なので、赤字受注になっていないかどうかの確認するために、粗利益をよく確認すべきです。

赤字受注というのは、せっかく売り上げたのにお金が出ていっているという状態。

このようなことがあるからこそ、

「経営目標は売上高ではなく、粗利益にすべきだ。」といった言葉があります。

ただ、実際には粗利益だけを確認すればいいというわけでもありません。



粗利益だけを経営指標にするのもダメな理由


では、粗利益だけを経営指標にするのは、よくないという理由を挙げていきます。

在庫をよく確認すべきだから

売上高がそれほど上がっていなくても、

「在庫が多くあることで、粗利益は多くなる。」というのが、粗利益の計算方法です。

なので、粗利益を経営目標とするならば、在庫がどのように推移しているのかも確認しておく必要があります。

もし、売上の伸びと同じように在庫が伸びているのであれば、それほど心配はありません。

しかし、「売上の伸びと比べて在庫の方が増えている。」というようなことがあれば注意が必要です。

在庫が増えているという状態は、棚卸資産回転期間のような指標が前期よりも増えているものです。

「棚卸資産回転期間が伸びていて、粗利益が増えている状態。」

だと、その粗利益は正しくないのでは(粉飾しているのでは)、と銀行も考えてしまいます。

また、在庫回転に問題がない場合でも、「在庫が実際に販売できる状態のものなのか」の確認も必要といえます。

数字上は在庫として計算されているけど、「使えない在庫はないか」といった在庫状況の確認も重要です。

PLしか確認していないといえるから

「経営目標として粗利益を掲げる。」

ということはわかりやすい目標なので、行動に移しやすくなるといったこともあるでしょう。

とはいっても損益計算書しかみていない経営というのは、危険なことです。

「いま現預金残高が、実際にいくらあるのか。」

「自己資本比率や借入金月商倍率いくらになっているのか。」

といったように、貸借対照表の数字も確認していなければなりません。

貸借対照表に載っているものは、すべてお金が何かに化けたものです。

また、「銀行借入れをするタイミングはいつごろになるのか。」

「設備投資はしたけど、その設備が有効活用されているのか。営業キャッシュフローは黒字なのか。」

といったように、損益計算書以外の数値も逐一確認していくべきです。

時間の概念を確認していないから

目標の粗利益を確保するために、「昼夜構わず時間をかけて働いている」という状態もいいものではありません。

ひとは、働けたとしても最大で1日8時間でしょう。

それどころか8時間働くということも、長過ぎるといえるかもしれません。

粗利益を目標にしてその粗利益額を稼ぐために、いままでよりも多くの時間をかける。

そして、より多くの時間をかけたことで、目標としていた粗利益に達成することもあるかもしれません。

しかし、今月頑張ってその目標の粗利益を達成しても、来月も同じだけ時間をかけていくということは難しいことでしょう。

事業には、時間という概念も大切なものです。

「年商が〇〇円、粗利益が〇〇円。」

と威張っていても、世の中には上には上がいるものです。

「イケるところまでいくんだ。」

といった姿勢もカッコいいものですが、

「どのくらいの時間をかけて目標の数字を達成するのか。」といった時間の概念も、目標数値のなかには必要だといえます。

「事業として何をやりたいのか。」

「人生をどう生きていきたいのか。」

といったことまで考えて、経営の目標をつくることが持続可能な目標だといえます。


まとめ


経営の目標として売上高や粗利益を掲げることはわかりやすく、悪いことではありません。

とはいっても、事業の目標は、損益計算書だけではなく貸借対照表や時間の概念などの取り入れるべきです。

「うちの年商は〇〇円だ。」といったことは、外部に説明する際にわかりやすい数値です。

ただ、「じぶんは時間あたりの対価を重視していて、労働は午前中だけ。」といったような生き方もあります。

本気で事業を営んでいるなら、経営目標を粗利益だけにするのはやめましょう。


【おわりに】

自己啓発セミナーは苦手です。

「このセミナーを受けたら、とにかく行動しよう。このセミナーの内容なんか結局関係ないんです。」

「やるかやらないかだけです。」

ってドヤ顔でいわれても、何をいってるんだろうって思ってしまいます。

「何かをいっているようで、何もいっていない」という場面に出くわすと、悲しくなります。

まあ「なんでも商売になるもんだなぁ」と思って聞いていますが。。。


【一日一新】

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