金利に疎い社長は、「ちょろいな。」と銀行員におもわれている場合があります。
金利交渉は、もろ刃の剣ではある
銀行融資を検討する際に資金使途を別とすると、まずは借入金額や返済期間というものを重視して、借入の申込を検討すべきことです。
とはいっても、融資金利というものも気になるものですし、気にすべきことでもあります。
銀行員は社長の言動をよく見ています。
「金利にシビアな社長であれば、金利について提案を行います。」
「金利に疎い社長であれば、ある程度金利を取っておこう。」と考えるものです。
なかでも金利にシビアな社長がやりがちなことは、0.1%単位の金利差で取引銀行を頻繁に代えてしまうということ。
たしかに、金利も経費の一部なので経費負担を抑えるという意味では、金利にはシビアになるべきです。
とはいっても、大差ない金利差で取引銀行をコロコロ代えていると、
「いざというときには、どの取引銀行も真剣に取り合ってくれない。」
ということもあります。
金利にはシビアになるべきですが、金利にシビアになりすぎると銀行にそっぽを向かれてしまうので、金利交渉はもろ刃の剣という部分もあります。
金利にもシビアになるべき3つの事例
銀行融資を受けるときには、金利にもある程度はシビアになったほうがいい場合がある、事例を挙げてみます。
銀行員は稟議書の金利よりも高い金利を伝えることがあるから
銀行員がプロパー融資などの案件を進めているときに、あってはならないことのひとつが、
「他行に案件を取られる」ということです。
たとえば、せっかく取引先に融資の提案が通り、実行に向けて動いているなかで稟議が通り、
「さあ、あとは金消契約だけを残すのみ。」
となった場合でも、
「ごめん。もう他行で借りちゃった。だって他行の方が金利がよかったから。」
となってしまうと、もう銀行内で立つ瀬が無いほど、どうしようもなくなってしまいます。
稟議が通るということは、「銀行的にはもう融資をすることが確定したこと。」
なので、当然支店の数値目標には、その案件が反映されていることになっています。
だからこそ、銀行員は通った稟議は、絶対に融資実行まで持っていかなければなりません。
なのに、
「稟議が通った案件なのに土壇場で、やっぱお宅は金利が高いからやめておくわ。」
などと言われることだけは、絶対に避けなければならないこと。
その予防策として銀行員は、取引先に提案をした金利よりも、さらに低い金利で稟議を通すということを行います。
そして、実際の現場で銀行員は、稟議書の金利よりも高い金利を「ひとまず伝える」ということがあります。
「社長〇〇%で融資が通りました。」と伝え、社長の顔色を伺う。
そこで「ゴネられて」しまったら、支店に電話をするフリなどをして低い金利を提示する。
ということは、多々あることです。
銀行員の鞄のなかには、融資実行における金利が何パターンかの書類が入っており、当日の社長の顔色を伺いながら出す書類を見極めているということがあります。
だからこそ、「金利はもう少し何とかならなかったのか。」
と銀行員に揺さぶりをかけるということは、必要なことだったりします。
一行取引だと金利が高くなることがあるから
融資を受けている銀行が一行の取引先で、特に、
「むかし潰れそうになったときに、お宅の銀行だけが助けてくれたんだ。」
といっているような取引先に、銀行員が感動をして、じぶんも頑張らなきゃと懇切丁寧な対応を取る。
ということは稀なことです。
銀行員というのは、数年に一度人事異動があるもの。
すると取引先と言っても、一生涯のお付き合いというようなことは考えていません。
むしろ、
「じぶんが次のステップに何事もなく、平穏に進めたい。」
ということを考えています。
平穏に次のステップに進むためには、「金利を取れる所からは取れるだけ取っておく」ということを考えています。
たとえばひとつの例として、一行取引の会社だと、通常の融資金利が2%だとすると、倍近い3.5%ほどで融資を実行しているということもありました。
この金利差を大したことがないと考えるか、「アルバイト1人分くらいの金額になってしまうな」と考えるかは人それぞれかもしれません。
じぶんの銀行に感謝をしている先というのは、「そうそう」他行に乗り換えるということをしないものです。
恩を感じているからといって、金利に疎い社長だと、「実はかなりの高金利を取られていた」ということもあります。
一行取引だと金利は高めになるので、複数の銀行と取引をしてみるべきです。
金利は銀行を競わせなければ、低くはならないということがあります。
複数行といっても、あくまでもメインバンクがどこかは明らかになるように、融資残高は考えておきましょう。
業績が良くても金利が高い場合があるから
そもそも金利の交渉ができる状態というのは、決算書の内容が良くなければなりません。
決算書の内容が良くて初めて、銀行側も金利の検討をすることができます。
だからといって決算書の内容が毎期よくても、
「社長、御社の金利が高いので今度から金利を低くしていきましょう。」
とは銀行員もいえないものです。
銀行の支店には、融資金利は支店平均として〇〇%にすべきといったようなノルマがあります。
融資金利にノルマがあるので、そう簡単にじぶんたちからは、「金利をわざわざ低くする提案」ということは、できないと考えて行動をしていくべきなのです。
とはいっても、銀行員は取引先が他行に取られないように、他行の動向を常に気にしています。
毎期、決算書の内容がいいのであれば、
「〇〇銀行が〇〇%で融資したいと言ってるんだけど、受けていいかなぁ。」
と既存の銀行に金利の交渉を投げかけてみましょう。
そうすると、案外銀行員は言うことを聞いてくれて、社長の要望に沿った金利の提案をしてくれるといったことがあります。
まとめ
少額の融資で、0.1から0.3%くらいの金利差であれば躍起になって金利交渉をするのではなく、返済期間や手数料などを交渉してみたほうがいいでしょう。
もしくは、経営者保証を外して貰えないかを交渉してみることもありなことです。
金利にはシビアになるべきですが、金利の交渉はやりすぎはよくありません。
業績がいい場合には、銀行も会社のいいなりの金利を提示することもあります。
しかし、業績が悪くなってしまった場合には、より金利を高くするなどの意趣返し的な提案をしてくることがあるものです。
とはいっても、金利にシビアな経営者じゃないと銀行員に見破られてしまうと、代々の担当銀行員に、
「あそこの社長は、金利に疎いから、金利を高めに取っておけ。」
となるものです。
銀行には融資量のノルマもありますが、融資金利にもノルマがあるものです。
じぶんの会社が、銀行のノルマを達成するための調整弁として使われないためには、多少は金利についてもシビアになってみることもおすすめします。
【おわりに】
今日は、車内テレワークをしていました。
車の後部座席で仕事をするのは、やっぱり結構快適です。
【一日一新】
ある場所で打ち合わせ