決算が黒字なのに、銀行が融資してくれない6つの理由

銀行から融資を受けるためには、利益が出ている黒字の状態である必要があります。

でも、「うちは黒字なのに銀行から融資を受けられなかった。。。」

なぜそういったことがおきるのか確認してみましょう



決算は黒字であるべき


決算は黒字であるほうが、会社の財務内容はどんどん強くなっていきます。

なので、事業を行っているのであれば、決算は黒字であるべきです。

そして、銀行融資を考えている場合には、黒字だと融資を受けられる確率が高くなるのは間違いありません。

決算で利益が出ているというのは、少なくともその期間は儲かったということ。

黒字だからこそ、世の中に求められる事業だといえます。

「儲かっているんだから、銀行は融資してくれるでしょ。」

と思っていたのに、銀行から融資を断られた。

では、なぜ黒字なのに銀行から融資を断られてしまうのでしょうか。



決算が黒字の状態なのに銀行が貸してくれない理由


「決算が利益なんだから、銀行は貸してくれるはず。」

そうともいえない理由を確認してきましょう。

債務超過の状態だから

決算書の最終利益(税引き後当期純利益)が黒字なのに、銀行が貸してくれない理由でまず考えられることは、債務超過だからです。

債務超過とは、決算書の純資産がマイナスになっているということ。

純資産の中にある繰越利益剰余金というのは、過去から現在までの利益が、どの程度出ているのかということを積み上げたものになります。

決算書が利益というのは、その期(1期間)だけが利益だったということを表しています。

するとその期が利益でも、いままでが赤字(繰越利益剰余金がマイナスで純資産もマイナス)なら、

「この利益はたまたま出たものでしょ。」

と銀行員は判断してしまいます。

債務超過の状態ですと、「いつ潰れてもおかしくないから融資できない。」

と判断されてしまうのです。

特別利益が多すぎるから

決算が利益といっても、その利益が特別利益で当期純利益が黒字になっている場合には、銀行は黒字決算とみなしません。

たとえば、特別利益に保険を解約した保険差益があることによって、当期純利益が黒字になっている場合など。

保険屋というものは、「保険を解約するとこの決算が黒字になるから銀行格付けが上がる」というようなことをセールスすることがあります。

しかし、「銀行は無駄な保険を掛けていて、資金繰りに詰まったから解約したんでしょ。もっと初めから本業に資金を使うべきだった。」

と考えその保険での利益は「なかったもの」として決算書を分析します。

また、役員借入金などがある場合に、その役員借入金を債権放棄することで、役員借入金免除益などが生じている場合も同じです。

巷のコンサルタントが「役員借入金で免除益を計上すれば銀行格付けが上がる。」と言っていても、銀行は本業の営業利益の詳細を確認しています。

特別利益で黒字になっている場合は、銀行員からしたら赤字決算になってしまいます。

 

役員報酬が低すぎるから

営業利益も黒字で、特別利益があるわけでもなく決算は、当期純利益の黒字。

だから問題はないはず。

といっても、役員報酬があまりにも低い場合には銀行の評価として黒字決算となりません。

多くの中小企業の場合は、会社の決算書と、経営者個人の収入や資産状況などを加味して融資の判断を行っています。

すると、会社の決算が黒字だったとしても、役員報酬があまりにも低すぎた場合「この社長はどうやって食べていっているんだ。たいした資産もないくせに。。。」

となってしまい、社長の年齢や家族構成から本来必要であるはずの役員報酬を計算し、その結果決算書が黒字かどうかを改めて判断することになります。

役員報酬を適正に計算をしたら、銀行員から見たら赤字決算だったということもあります。

減価償却費がない、少なすぎるから

減価償却費が計上されていなかったり、計上されていても「本来の」金額で計上されていない決算書があります。

この本来の減価償却費が計上されていない状態で黒字だったとしても、銀行員はその決算を利益が出ているとみなしません。

減価償却費に関しては、適正な金額が計算されているかを銀行も改めて再計算しているので、「つまらないテクニックを使っている会社。」

となっています。

減価償却費を適正に計上しない会社は、「他にも変なことをしてそうだから、融資できない。」

と減価償却費にはこのような判断もされる、奥深さがあります。

売掛金や在庫が多いから

中小企業だけでなく、上場企業の粉飾決算(本来は赤字なのに黒字の決算とみせかける)でも常套手段なのが、売掛金と在庫を調整するということ。

売上の推移と比べて、売掛金や在庫回転数などが変に多くなっている。

このような決算書だと、「粉飾では?」と銀行員は考えます。

売掛金や在庫で調整して当期純利益にしている。

こういったことはバレてしまうので、決算書が黒字でも「これはどうも怪しいな」となり融資は難しくなります。

もう融資する枠がないから

どれだけ利益が出ていても、その銀行が貸せる融資の枠が一杯だと、銀行はもう貸すことはできません。

利益額だけではなく、売上金額や貸借対照表の状態で融資の枠というのは、決まってしまいます。

もし、いま取引のある銀行で融資の枠が一杯ならばその銀行では、新規の融資は難しくなってしまいます。

銀行にも融資できるだけの体力があるかどうかも、貸せるか貸せないかの判断が変わってきます。

本当に黒字決算で、銀行から融資を受けられない場合には取引銀行の事情が関係してくるので、他の銀行との取引を考えてみましょう。


銀行員は、すべての決算書になんらかの調整がされていると思っている


銀行員は、渡された決算書を素直に確認することはありません(粉飾などに気が付かないと上司に、かなり怒られることがあります)。

なので、常に粉飾決算を疑って決算書を分析しています。

本当に黒字決算なのか。

その黒字の状態というのは、どういった意味で黒字なのか。

銀行もここは注意深く確認をしています。

銀行融資は、小手先のテクニックだけでは難しいものです。

常に絶えず、じぶんの事業がどうなったら強くなるのかを考えて、行動に移すことが大切なことです。


【おわりに】

税理士関系の本を読んでいると、「まだまだ勉強不足だ」と感じることが多いです。

税法も奥が深すぎますし、いつになったらこの「勉強不足感」がなくなるのかなぁと思ったりします。

おそらく、一生勉強不足だなと感じて生きていくんだと思います。。。


【一日一新】

ある焼き鳥

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