サラリーマンの副業って、事業所得になるのでしょうか?

サラリーマンも副業で赤字を作って節税。

「賢いサラリーマンはみんなやってる。あなたもやらなきゃ損。」

というような話し。

そんなことが出来るなんて、税理士のわたしでも知らなかったです。。。


空気が透き通っていて水もきれいです


「副業」は事業所得にはならない


サラリーマン(給与所得者)の副業は、事業所得にはなりません。

なぜならそれは、「副業」だからです。

まず事業所得とはどういうものなのかというと、以下のようなものが事業所得となります。

事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人のその事業から生ずる所得をいいます。

 ただし、 不動産の貸付けや山林の譲渡による所得は事業所得ではなく、原則として不動産所得や山林所得になります。

国税庁HPより

これを素直に読むと、「おれがやってるネット通販は小売業だから、事業所得じゃん。」

「事業所得だから、ガンガン使った支出も経費にして青色申告の特典も受けられて、赤字だったら給与と損益通算して節税になるじゃん。」

と思いますよね。

ただ、事業所得というのは「事業として」行われているものが対象になります。

「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。例えば、商店が販売用の商品を売った場合や、運送業者が運送サービスを提供して対価を受け取るような場合が典型的なものです。

国税庁HPより

事業としてとは、反復して、継続して、独立している行っているから、事業者が行った事業と認められるのです。

また、

事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反覆継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいう。

最判昭和56年4月24日

という最高裁の有名な裁判例があります。

「よくわからないけど、会社が終わったら毎日ネットとにらめっこしてるけど。。。だから事業じゃないの?」

と思うかもしれません。

この場合も、「あなたの本業はサラリーマンとしての活動だから、あなたの人生で1番時間を使っているのは、サラリーマンとしての活動ですよね。だから、あなたのネット通販は事業所得ではないですよ。」

と税務署に言われてしまうでしょう。

仮に事業所得で確定申告をして、「税務署が何にも言ってこなかった。」

と周りのひとに自慢をしても、それは運が良かったか、税務署が虎視眈々とあなたを狙っているだけです。

副業である限り、本業のひとだけが申告できる事業所得にはならないのです。


事業所得でも雑所得でも、生活費は経費にならない


副業が事業所得に出来なくても、雑所得にはなります。

雑所得の計算方法は、「総収入金額 – 必要経費 = その他の雑所得」

ということで、収入から経費を差し引いてその所得を決めるということになります。

その際の経費とは、

副業に係る収入のうち営利を目的とした継続的なものをいいます。

国税庁HPより

というもので、その収入を上げるために必要な支出だけになります。

生活費の一部を経費にして、ガンガン節税をしようと飲食代や洋服代などを経費にして確定申告をしても、それは当然経費にはなりません。

これは、雑所得でも事業所得でも変わらないものです。

どれだけ著名な方が、「生活費の一部を経費にして節税をしないサラリーマンは時代遅れだ。」

といっても、経費になるのかどうかの判断は直接事業に関係ある支出かどうかということ。

なので、税務署に気づかれたら「これは経費ではないから、税金を払ってね。」と言われてしまいます。


事業とはリスクを負って、人生をかけて行うもの


サラリーマンが、いまやっている副業を事業所得にしたいのであれば、それを副業でやらずに本業として行うべきです。

本業でやるのであれば、間違いなく事業所得となり、青色申告の特典など税制面の優遇措置を受けることができます。

しかし、本業でやるならば儲けなきゃ意味がありません。

節税になるからと、副業をしているというのはピーター・ドラッカーに言わせれば、

「税制に基づく意思決定は最悪の意思決定である」

ということになってしまいます。

「賢いサラリーマンは、副業を事業所得にして節税。」

このような話しは度々聞くことがあり、わたしが以前勤めていた税理士事務所の同僚にも同じようなことを言われたことがあります。

しかし、そのハードルは高いどころか無理だと言えます。

「副業は、雑所得。」

そして、その副業も儲けるためにやるべきで、節税のためにやるべきではありません。

そんなことをするのであれば、あなたの本業であるサラリーマンとしての仕事に打ち込んだほうがもっと儲けることが出来るはずです。

事業所得にしたいのであれば、サラリーマンをやめて人生を賭けてその事業を成功させる道を歩みましょう。


【おわりに】

寒くなってくると、睡眠時間が増えます。

最近、眠くて眠くて。。。


【一日一新】

ねこってる(チョコ)

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