銀行員というのは損益計算書よりも貸借対照表の確認に時間をかけているものです。
黒字であることは重要だけど
「世の中の7割近い会社が赤字申告をしていても、うちは絶対に黒字決算でいく。」ということを考えていたりもするものでしょう。
「黒字決算であれば、いずれはお金が増えていき足腰の強い経営ができるんだ。」と。
などというように黒字決算の効果を認識している事業者の方も世の中には少なくないといえるかもしれません。
それこそ、法人税なども「会社を強くするための交通費。」だと考えられるのは、資金繰りの妙味を理解しているスタンスだと感じるものです。
銀行員も赤字決算だったりすると、
「手間がかかりそうだなぁ。。。」と格付けや融資稟議書に手を付けるのが後回しになったりもするといえます。
「業績が悪いとテンション上がんないんだよなぁ。」と。
なので、損益計算書の利益を重視した経営は意識すべきだといえます。
とはいっても、銀行員というのは損益計算書よりも貸借対照表の確認に時間をかけているといえるものです。
銀行員はなぜ貸借対照表の確認に時間をかけるのか3選
損益計算書も大切だけど、実は貸借対照表の確認に時間を使っているともいえる銀行員。
そんな銀行員が貸借対照表の確認に時間をかけている理由を3つほど挙げていきます。
お金の流れが見えるから
「損益計算書は1年でリセットされるけど、貸借対照表は創業期からの積み重ねられたもの。」といった性格がある貸借対照表。
そんな貸借対照表を銀行員が確認する際には、3期分程度を並べてお金の流れを確認していたりするものです。
「設備資金で出した融資がきちんと使われているのか。」
「社長、車買ったんだ。」
「受取手形が増えてきたから次は割引を提案してみよう。」などというように。
このように貸借対照表を並べて比較をすると、お金の流れが見えるのです。
そのお金の流れを確認することによって「社長のお金に対するスタンス。」といったものも評価しているといえます。
だからか、決算書に対する質問では貸借対照表に関するものも少なくなかったりするものでしょう。
「手形取引が増えているのであればうちで割引を使いませんか。」
といった新規融資の提案は銀行員が貸借対照表から読み取った情報での提案だといえます。
粉飾決算の形跡を探れるから
銀行員だといっても「融資先の情報を細かいところまで持っている。」ということは、実はそれほどないものです。
そんな銀行員は「決算書やじぶんの銀行の預金口座の流れ。」を頼りに担当先を分析していくといえます。
そのような情報のなかで銀行員が決算書を分析する際に考えるのは、
「粉飾決算をしていてホントは赤字決算なんじゃないの。。。」という粉飾決算への疑いだったりするのです。
どうしても、粉飾決算は損益計算書を確認しているだけでは難しいものだといえます。
貸借対照表を確認することで、粉飾決算を発見しそれを確信する可能性が高まるものだといえるかもしれません。
「たしかに売上は前期よりも増えているけど、売上債権の増え方が異常だよね。。。」といったことや、
「設備資金で融資をしてうちの銀行から振り込んだ金額と固定資産に計上されている設備の金額がずれている。。。」
などというような、決算書の違和感を見つけていくといえます。
銀行員が一端の腕を銀行内部に示すためには、
「貸借対照表を比較するだけで発見できる粉飾決算の形跡を見逃してはいけない。」ということもあったりするのです。
たとえば、売上の増加額以上に売上債権回転期間が増えている場合には、
「この異常な数値に気が付かないなんてマズイだろ。。。」などと上司に詰められてしまうともいえます。
なので、粉飾決算の形跡を見逃さないために貸借対照表を時間をかけて深く確認していくのです。
融資シェアを見ているから
「銀行融資を受けるのであれば複数の銀行から受けるべき。」という言葉を聞いたりもするものでしょう。
とはいっても、銀行員にとっては「一行取引の会社ほどやりやすいものはない。」といえるものです。
一行取引でじぶんの銀行に恩義を感じている会社であれば、
「多少、金利をふっかけても問題ない。」といったやり取りも銀行内部では行われているものだともいえます。
だからこそ「条件の悪い銀行融資を受けないため。」に複数の銀行と融資取引を行ない競争を促すべきなのです。
そんな複数行取引をしている会社に対しては、
「貸借対照表の借入金の金額を確認して、さらに借入金の勘定科目内訳明細書を確認する。」ということを銀行員は行なっていたりするものです。
「なぜ、貸借対照表の借入金が気になるのか。」といえば、他行との融資シェアのバランスを確認しているからだといえます。
銀行というのは、融資先に対する融資シェアというのは気にかけなければならないものなのです。
「メインバンクのつもりだったのに、融資シェアで他行に抜かれている。」といったことや、
「メインバンクの融資シェアが一気に落ちているのは、何か悪い予兆があるのかもしれない。」
といったことに気が付かなければ、人事評価で傷がつくともいえるのが銀行員だからです。
それこそ、地方銀行レベルだと「都市銀行が融資シェアを落としているのに気が付かずに融資が焦げ付く。。。」ということが、そこそこの頻度で起きているといえるかもしれません。
なので、決算書を預かった際には「まずは借入金を確認して融資シェアの推移を気にする。」というように時間をかけて貸借対照表を確認する銀行員がいるのです。
まとめ
「じぶんはそれほど貸借対照表を見ていない。」という事態は避けていきましょう。
できる銀行員ほど貸借対照表からあらゆるストーリーを想定して、その会社を評価しているといえますから。
【おわりに】
「優しそうな税理士さんだったよ。」と言われるのが嬉しかったりします。
そんなことを感じた一日だったという。。。
【一日一新】
東急百貨店たまプラーザ店 京都物産展