銀行から融資を受けると「毎期、決算書を提出するのが面倒だ。」
ということを考えるかもしれませんが、銀行にも決算書を預かる理由があるのです。
銀行員は決算書を貰いに行くときに嫌な思いをしているときもある
銀行というのは融資先に対して、毎期決算書を預からなければならない仕組みになっています。
なので「決算書を預かりに行く。」という仕事は、銀行員の日常業務だといえます。
その決算書を預かりに行く取引先というのは、
基本的には担当先の決算書を預かりに行くということになっているものなのです。
そして、銀行員には担当先の会社に「おおむね1ヶ月に一度は訪問すること。」
という訪問回数のノルマのようなものがあったりします。
その定期的に訪問をしている会社から決算書を預かる場合には、
普段からのコミュニケーションが取れているので、嫌な思いをするということは少ないといえます。
しかし、取引先の資金需要などを考えて、
「ほとんど訪問をすることがないような会社。」
というのも、どうしても存在してしまうものなのです。
そのような会社に訪問をするとそこそこの確率で、
「決算書が必要なときだけ来やがって。」などと、意地悪なことを言われてしまうということがあります。
また「なんで新しく融資を受けるわけはないのに、毎期決算書を渡さなければならないんだよ。」
と詰められることもあるのが、銀行員が決算書を預かりに行くときに起こる日常だともいえます。
このように銀行員というのは、
「決算書を貰いに行くときに、一定程度の確率で意地悪なことを言われてしまう。」
というようなことを経験していたりするものだったりします。
なぜ銀行に毎期決算を渡さなければならないのか
「なぜ銀行は毎期、毎期決算書を預かりに来るのか。」
と聞かれれば、決算書を預かってから行なう仕事があるからということになります。
銀行自体の決算に必要だから
銀行が融資先の決算書を必要とする理由のひとつには、
「銀行の決算のために必要だから。」ということがあります。
「なんだよ。銀行のために決算書を渡すのかよ。」
ということを思われるかもしれませんが、銀行も一般の会社と同じように事業を営んでいるのです。
なので「銀行が決算を組むためには融資先の決算書が必要になるから欲しがる。」といえます。
では「なぜ、銀行の決算で融資先の決算書が必要なのか。」といえば、
「融資先の状態を査定することで、引当金という経費をどの程度計上するのか。」を決める必要があるからになります。
「銀行の経費をいくらにすべきなのか。」
ということを決めるためには「融資先の決算書は必須なもの。」なので、銀行は決算書を欲しがるのです。
融資先の返済可能性を確認しているから
銀行が融資先の決算書を確認するなかで行なうことは、
「融資先の業績を査定しながら格付けをする。」ということをしています。
銀行というのは「融資先の決算書の内容や事業の展望、社長の個人資産・性格。」などを考慮して、
融資先の返済可能性をランク付けをしています。
そのランク付けというのは、まず、
- 正常先
- 要注意先
- 要管理先
- 破綻懸念先
- 実質破綻先
- 破綻先
という「債務者区分」に分けることを行います。
そのなかでさらに細かく、たとえば正常先ならば7つのランク(A1からA7と呼ぶ)に、
「格付け」をしたりしているのです(格付けのランクは銀行によって異なります)。
この格付けを行なうことで、融資先への貸出金利などの条件が決まってくるといえます。
なので、格付けが悪化をした場合には、
「変動金利型のプロパー融資の金利は上がる。」というようなこともあります。
このように決算書を預かり、格付けすることで融資先への営業展開を検討しているのが銀行の業務になります。
そして銀行が融資先としてみるのは、要注意先(B1)以上の格付け先だといえます。
余談ですが、何とかしてじぶんの成績を上げたい銀行員というのは格付けを行う際に、
「真っ当に格付けを行なったら要管理先(B2)となる会社。」を、
「定性評価というある種担当の銀行員の主観となる部分で、大量の文章を書き強引に格付けを要注意先(B1)に引き上げる。」
という格付けを行なうことがあります。
「何とかしてこの会社にも融資ができる余地を残しておきたい。」
といった気持ちから、このような積極的な姿勢で仕事を行なうのですが、
「格付けの最終審査を行なう本部に、メタメタに返り討ちにあう。」というようなことも、銀行融資の日常風景のひとつだといえるかもしれません。。。
決算書をそのまま渡すだけなのはもったいない
「銀行員が決算書を預かりに来る。」というのは、ここで挙げたようにいくつかの理由があるものです。
その銀行員というのは「時期によってはかなりの会社数の格付けを行わなければならない。」ということがあります。
なので「そこまで詰めて格付けをするわけではない。」ということもあるものです。
このような事情があるので「決算報告はきちんと行なったほうがいい。」といえます。
銀行に対して「まともに決算報告をする会社。」というのは、
「実はあまりない。」というのが実情になります。
だからこそ「決算書を渡しておしまい。」ということではなく、
「どういう事情でこのような決算になったのか。」といったことや、
「今後の業績見通しや資金需要。」について、説明をしたほうがいいのです。
数字の背景にあるストーリーを説明するだけでも、銀行員へ手助けとなりますし、
口頭だけではなくA4一枚でいいので、業績の経緯を書いて付けるということをしてみましょう。
このようなちょっとした手間をかけて決算報告をするだけでも、
「ここの社長はしっかりしているなぁ。」と銀行員からの評価も上がるといえますから。
まとめ
銀行員が決算書を預かりに行く理由というのは、きちんとあるものなのです。
なので、決算書は快く銀行員に渡してみましょう。
そして、決算報告をする会社というのはかなり少数派だといえるので、
「A4一枚程度の決算報告資料。」などを見せながらコミュニケーションを取ると、銀行取引がより円滑になるといえます。
【おわりに】
銀行員が決算書を預かる際には「預り証。」を発行することになると思いますが、
この預り証は無くさないようにしたほうがいいです。
預り証を無くされてしまうと「銀行員はそこそこ面倒な処理を銀行内でしなければならない。」ということもありますので。。。
【一日一新】
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