「金利上昇局面だと銀行は融資を渋るようになるんでしょ。。。」といっても、そのようなことはないものです。

銀行と預貸率(貸出金残高÷預金残高)
銀行の「融資残高が預金残高のうちどのくらいの割合を占めているのか」といった預貸率。
「信用金庫の預貸率平均は60%(いまは50%)を下回っている」などということを銀行への就職を目指していたときに知った際には、ちょっとした衝撃を受けたものでした。
「預かった預金のうち半分ちょっとしか融資に回せていないのか。」などと。
農協系への就職活動中には「JA(農協)の預貸率は30%なのかよ。。。」とさらに衝撃を受けたものです。
「預金の多くを有価証券や債券で運用しているなんて。。。」と学生ながらに心配をしたものでした。
「信用創造における間接金融の機能を果たせていないじゃん。」といったように。
ましてや、就職活動をしていた当時は、
「今後金利は上昇局面に入る。」といった流れだったので、預貸率の低さとともに債券を大量購入している金融機関に嫌悪感を持ったものです。
銀行員が気にする融資量
銀行員時代には「預貸率」といったものも意識しなければならない数字だったといえます。
「預貸率は80%を維持しなければならないし、70%を下回るなんて地域金融機関としての責務を果たせていない。」といった指標があったものでした。
などということもあり、
融資業務をメインとする銀行員が最も気にしなければならない数字が「融資量」だったものです。
それこそ、朝礼では必ず前日の融資量が読み上げられ、夕方頃に本部から当日の融資量のデータが送られてきたものです。
それを見ては「ちっ、支店ごとにランキング化しやがって。。。」などと感じていたといえるかもしれません。
だからか、融資の返済日となる約定日は、
「融資量が減るデー」なので機嫌が悪くなる支店長もいたものです。
「融資量落ちてんじゃねーか。。。」と、誰もがわかりきったことを機嫌悪そうに言っていたりと。
なので、銀行員の仕事として、
「融資量は落とさず上げなければならないもの。」「ライバル(と支店長がみなしている)支店に融資量で負けない」「追いつく」といったことが大きな責務だったといえます。
金利上昇時だからといっても
「とはいっても、金利上昇局面であれば金利収入が増えるから融資量に関する意識は落ちるんじゃない。」といったことを思ったりもするものでしょう。
インターネットという大海原には、そのような発信もあったりするといえます。
「金利上昇時は、銀行の儲けが増えるから銀行は融資を渋るようになる。」といったような。
などということは、銀行員の感覚としてはないものだといえます。
たしかに、金利上昇時には変動金利型の融資商品に関して上昇した金利分の収入が銀行にとっては増収要因となるものです。
とはいっても、預金利息や市場の金利も上昇するため、
「市中金利が上がったから本部もウハウハのはず。。。」とは、どの銀行員も考えていないものだといえるかもしれません。
銀行本部の姿勢も、支店長の姿勢も、それに駆り立てられる現場の銀行員の姿勢も、金利上昇局面だからといってもそれほど変わらないといえます。
「追わなければならないのは、あくまでも融資量。」と。
むしろ、金利上昇局面では「銀行間の金利の駆け引き。」といったようなシェア争いが、マイナス金利時よりも激しくなっていくものです。
融資シェアを落としてしまえば、金利上昇局面であってもいずれ金利収入が下がっていくものと考えるからです。
なので、銀行というのは「金利上昇局面だからといっても、融資姿勢が極端に変わるわけではない。」と考えた対応をしたほうがいいといえます。
そして、金利が上昇局面にあるからこそ「金利にも敏感な社長。」といったスタンスを銀行員と話している際に見せていったほうがいいものです。
「取れそうなところから順次金利を取っていけ。」という号令が銀行員に下っていたりもするからです。
まとめ
金利上昇局面だからといっても、銀行員は変わらず融資を実行していきたいものです。
【おわりに】
「数冊単位で銀行融資関係のKindle本を出そう。」とした何ヶ月か前。。。
ブログ記事を加筆修正するスタンスなのですが、分量が多すぎてまとまらないという。
年内中には何冊か仕上がるはずと。。。
【一日一新】
遊就館