「売上が増えているから銀行からの評価も上がるだろう。」
と考えていても「そうとも言えない。」といったことを書いていきます。
事業で最も意識しやすい指標は売上高
「とにかく売上さえ前期よりも増えれば銀行が評価してくれる。」
などということを考える事業者の方も少なくないでしょう。
たしかに、銀行員からすると「売上が小さい会社よりも売上が大きい会社の方が融資金額は増やしやすい。」のでありがたいものだといえます。
また、売上規模が大きい会社の方が同僚や同期などに誇れることがあるので、
「売上が大きい会社と取引をしたい。」という誘惑に駆られるのが銀行員だといえるかもしれません。
そのような事情を汲み取り「事業の最重要指標を売上高にする。」ということもあるものでしょう。
ただ「売上高が前期より増えているから。」といっても、銀行からの評価が必ずしも上がるわけではないといえます。
売上高は増えているのになぜ銀行の評価が上がらないのか3選
それでは「売上高は増えているのになぜ銀行評価が上がらないのか。」という理由を3つほど挙げていきます。
損益計算書が赤字だから
「売上高が最も評価される指標だろう。」
と考えていても、多くの銀行員が決算書を預かった際に初めに見る科目というのは、
「貸借対照表の繰越利益剰余金や損益計算書の当期純利益金額。」だといえます。
また、貸借対照表の借入金と勘定科目内訳明細書の借入金の内訳をひたすら確認していくといったことも少なくないものです。
そのようなことをしてから(このようなことは数秒で行われる)、
「さて、今期の売上高はどのくらいなんだろう。」といったことを確認していくことになります。
とはいっても、銀行員が融資するためには、
「売上高よりも黒字になっているかどうか。」といったことを重視するといえます。
なぜなら「繰越利益剰余金や当期純利益などが黒字。」であれば、
格付けなどの自己査定を行う際に「融資が実行しづらい要注意先ではなく正常先」としての区分ができるものだからです。
なので「売上高は前期比較で増収。」だといっても、それで格付けなどの銀行評価が決まるわけではいえません。
銀行員として重要視したい指標は、債務償還年数なので、
損益計算書が赤字だと融資案件としては取り上げ難いものだといえます。
このように売上高が前期比較で増えているといっても「債務償還年数の基準となる損益計算書が赤字になっている場合。」には銀行からの評価は上がらないのです。
売上債権の残高に違和感を持っているから
決算書を預かる際に社長との話の中で
「前期よりも売上は好調でさぁ。」などというような会話をするのは、銀行員としても嬉しい瞬間だといえます。
「そうか事業はうまくいっているんだなぁ。」などというように、さらにその会社を支援にしたいと考えるものです。
ただ、売上高の増加以上に売掛金や受取手形などの売上債権の金額が増えていると、銀行員としてもその売上高について懸念を抱いてしまうこともあるものだといえます。
「この売上高は操作されて(粉飾決算)つくられたものはないか。。。」などというように。
銀行員というのは、決算書の確認を行う際には売上債権回転日数などのように、
「売上債権の回収が前期と比較してどのように増減しているのか。」といったようなものを確認しているものです。
なので、売上債権回転日数などが増加している場合には、
「社長、売上高の増加以上に売上債権が増加しているのはなぜですか。」というような質問をするものだといえます。
この際に「大手の売上先が増えた影響で手形取引となり売上債権の回収サイトが伸びている。」というような説明であれば、銀行員としても何の懸念を持つこともないものです。
それどころか「運転資金が増加していると思うのでゾウウン(増加運転資金)での融資はいかがですか。」といったような提案を受けるといえるでしょう。
とはいっても、目標の売上金額を到達させるために、
「売上債権などを使い粉飾決算をしている。」ような場合だと銀行員にバレてしまい銀行評価は下がってしまうといえます。
また、売上至上主義に陥って焦って売上高を増やしていると、
「売ったけど売上債権の回収ができない。。。」といったことも起こり得ていくものかもしれません。
そのような際にも、銀行員は決算書の勘定科目内訳書で売上債権の内訳を確認し、
「前期の決算書と金額が変わっていないような売上債権。」を発見することになるものです。
そして「この売上債権は貸し倒れている。。。」とみなすので、
「たとえ決算書の損益計算書が黒字だったとしても実質的には赤字。」だとみなされて、銀行評価は上がらないということになるといえます。
役員貸付金が増えているから
「今期は売上が好調だから預金残高も順調に増えている。」
「だから役員報酬を増額しよう。」などと考えることもあるかもしれません。
たしかに、売上高が増えているのであれば「役員報酬を増額する。」ということは、事業戦略として悪手だとはいえないでしょう。
ただ、役員報酬というのは「期首から3ヶ月以内の変更しか認められていない。」などというように、好き勝手に変更ができないルールになっているともいえます。
「そんなこと言ってもさ、会社からもっとお金を欲しいんだよ。。。」
などということを、売上高が順調であればあるほど考えるものかもしれません。
その際の解決策として「役員報酬を増やすわけにはいかないからじぶん(社長)への貸付金にする。」というような会計処理を選択することもあるものでしょう。
このような社長への貸付金として「役員貸付金が貸借対照表に載ってしまう。」というのも銀行からの評価が悪くなってしまうといえます。
「売上が増えていて預金も余っているのに、もう役員報酬の増額ができないって言うから結果として貸付金になってしまっただけ。」
と社長が考えていたとしても、銀行員としてはそのようなことをプラス評価で考えることはないものです。
「うちから融資した資金が事業資金としてではなく、社長のプライベートに流用されている。」
「ホントは損益計算書が赤字だったところを、経費を役員貸付金として振り替えて強引に黒字決算をつくったのかもしれない。」
「経営のルールが守れない杜撰な社長。」
などというように、役員貸付金という科目を貸借対照表で確認すると銀行評価はマイナスになってしまうのです。
「売上が好調で資金繰りも良かったから、じぶん個人が使えるお金を増やす。」というのは当たり前だと考えられるかもしれません。
とはいっても、最高経営責任者としての資金決裁権を持っている社長だったとしても、会社のお金をじぶん勝手には使うことはできないものだといえます。
そして「じぶん勝手に使ってしまったお金の形跡。」というのは決算書に載ってしまうものです。
そのような決算書を見ると銀行員としては、
「この会社はたしかに売上は増加傾向にあり損益も黒字だけど、社長の性格に難あり。」
などというように、それほど高い評価をつけられないということになってしまうといえます。
まとめ
売上高だけを意識しても銀行融資対応はうまくいかないものです。
【おわりに】
M2 MacBook Airでも、わりと簡単にトリプルディスプレイにできました。
あとはWindowsのライセンス認証をする必要があるのかを調べなければと。。。
【一日一新】
パイオニア 前後2カメラ ドライブレコーダー カロッツェリア VREC-DH300