銀行融資の金消契約で結んだ資金使途に従って、そのお金を使わなければ、
「それは資金使途違反ですよ。」となり、 銀行との新規取引が難しくなるので資金使途違反には気をつけましょう。
銀行融資を受ける前と受けた後で性格が変わる社長がいる
銀行融資では、
「ふぅ。助かったよ。」というように融資を実行すると、社長から感謝されるということが少なからずあったりします。
そんなセリフを聞くと、
「銀行員をやっていてよかったなぁ。」と感じる瞬間だったりしました。
とはいっても、銀行融資の現場でわりとあることのひとつが、
「融資を受ける前と融資を受けた後で、社長の性格が変っている。。。」
ということ。
たとえば、融資実行前まではアポを取らずにその会社に伺っても簡単に社長と面談することができたのに、
「融資実行後には何かと理由をつけられて社長と面談ができなくなる。」
ということもあることだったりします。
このようなことがあると、
「融資の実行があったから、社長は事業に邁進しているんだなぁ。」ということを考えるのではなく、
「何か不吉な予感がする。」ということを銀行員は考えるものだといえます。
その不吉な予感とは、
「融資を受けたお金を資金使途違反しているのではないか。」ということ。
銀行融資における資金使途違反というのは、
「金消契約の際に定められた資金使途以外では、その融資されたお金は使ってはならない。」というものです。
なので「銀行から融資を受けられたから、どんなことにお金を使ってもいい。」
というわけではありません。
資金使途違反をしないように、融資を受けたお金を使っていくべきなのです。
銀行融資を受けた後にこんな資金使途違反をしてはいけない3選
それでは「銀行融資を受けた後にこんな資金使途違反をしてはいけない。」というものを3つほど挙げていきます。
設備資金として受けた融資を運転資金に使う
「今度新しい機械を導入するから融資をして欲しい。」
「新規出店をするから開店費用を融資してほしい。」
などというような融資の資金使途は「設備資金として融資を受ける。」ということになります。
その設備資金の融資を受けるというのは、
「設備投資にお金を使うため。」に銀行から融資が受けられるということになるのです。
たとえば「設備資金で受けた融資をその設備を購入せずに運転資金として使ってしまった。」
ということは資金使途違反になってしまうといえます。
また、設備資金として受けたお金は設備資金として使い切らなければならないものなのです。
「設備の見積りをちょっと多めに操作してお金をチョロまかしても、銀行にばれないだろう。」
ということを考えるかもしれませんが、多くの場合には見つかってしまうといえます。
なぜなら、その設備投資の金額は決算書に載ることになりますし、
「減価償却費の明細や固定資産台帳の明細などからいくら投資したか。」ということがわかるようになっているからです。
このような「設備資金として受けた融資を運転資金などの他の資金として流用してしまう。」
ということは少なくないという事情もあるものです。
なので、銀行が設備資金として融資をする際には、
「融資したお金を通知預金などにして、資金を他に流用させないように拘束しておく。」 といったことや、
「融資実行と同時に設備の購入先に振込みを行い、資金を流用させないようにする。」ということを行うことになります。
さらに、この設備資金の借り入れで気をつけるべきことが、
「融資の実行がある前に、その設備資金を自己資金で買ってしまう。」ということです。
設備資金における銀行融資というのは「その設備の購入のために行う融資。」となるため、
「自己資金でもうすでに買ってしまった。」
ということになると「その設備資金による融資がそもそも必要なかった。」と銀行は考え、融資がストップしてしまうということもあります。
だからこそ、銀行から設備資金を受けるという場合には、
「自己資金で先に支払うことなく、さらに運転資金として流用することをしない。」 ということを意識しておきましょう。
設備資金の申込時よりも設備投資の金額が減額したことを伝えない
銀行融資を設備資金として申し込む際には、
その必要となる「設備投資の見積書」を銀行に提出しなければなりません。
そして、その見積書をベースとして銀行融資の実行金額が決まることになるといえます。
この際に気をつけなければならないことが、
「設備投資の業者と価格交渉をして、投資金額が下がった場合には、銀行にその旨を伝えなければならない。」ということです。
設備資金の融資が決まったという報告を銀行員から受けた際に、
「いやー、あの設備。この前の見積もり金額よりも安くすることができたよ。」
などというようなことがあるのは、銀行員にとって喜ばしいことではありません。
なぜなら「融資実行金額を変えなければならないから、稟議書をもう一度書き直す。」という事態になってしまうからです。
なので、設備投資の金額が変わった場合には銀行員にすぐに伝えておきましょう。
もし、設備投資の金額が下がったことを銀行員に伝えずに、
当初の高い金額で設備資金として融資を受けてしまうと、 資金使途違反になってしまいます。
他にも「当初購入しようとしていた設備をやめて、別の業者から設備を購入しようする。」
ということも資金使途違反になってしまうといえます。
「設備資金の銀行融資を受ける。」
というのは運転資金として融資を受けるよりも、受けられる融資金額は高額になることも多いものでしょう。
そのため、設備の購入金額に関しては銀行員と綿密に打ち合わせをし、 変更があった場合には銀行にすぐに伝えるようすべきです。
その際に機転が利く銀行員の場合には、
「じゃあ、設備の金額が下がった部分は運転資金とするので当初の金額通り融資します。」
というようなアドバイスがもらえるということもあります。
このようなこともあるので、
「設備投資の金額が下がった。」ということを、銀行員に伝えないのはやめておきましょう。
そして、設備資金として融資を受ける際には「設備資金+運転資金」というように、
設備資金と運転資金を合わせて融資を申し込むという方法もひとつの手段だといえます。
融資を受けたお金を会社が社長に貸付ける
「銀行からこのお金は何に使ってもいいと言われた。」
「だってこれは運転資金として借りたものだから、どんな資金使途として使っても自由だろっ。」
ということを考えることもあるでしょう。
たしかに、運転資金として銀行融資を受けるということは、
運転資金には幅広い意味があるので、その事業を営むにあたって「ある程度自由に使える。」ものだといえます。
とはいっても「銀行から融資を受けたお金を社長が個人的に流用して使う。」というのは、資金使途違反になります。
銀行が融資をするというのは、
あくまでも「その事業の発展を支援したい。」ということを考えて行なうものだといえます。
「でも、融資されたお金が、個人的な支出として使ったものかなんてわからないでしょ。」
ということを考えるかもしれません。
そして、それほど高額な金額でなければ銀行は気が付かないともいえます。
とはいっても決算書に、
「役員貸付金。」 といった科目が計上された場合には「この社長、資金使途違反したな。」ということを銀行員は考えます。
また「役員借入金が前期よりもかなり減っている。」
ということを決算書で発見した場合には「資金使途違反してるんじゃ。。。」ということを銀行員は考えるものです。
銀行員が融資の稟議書を作成する際には、
「じぶんの銀行にあるその会社の預金取引履歴や社長個人の預金取引履歴。」といったものも確認しているといえます。
その確認をしていくなかで、
「融資の実行から程なくして、会社から社長へお金が流れている。。。」
ということから資金使途違反が判明することもあるものです。
なので、会社の事業として借りた銀行融資のお金は、
「何があっても個人的には使わない。」というスタンスで事業を営んでいきましょう。
まとめ
銀行融資を受けた際には、資金使途違反というのはすべきではありません。
なので、銀行融資を受ける際には資金使途の確認をしっかりと行い、資金使途違反にならないような融資の受け方をしていくべきでしょう。
【おわりに】
銀行員だったときに、
「あの設備安く出来たんだよ。」という社長に何人か出会ったものでした。
すぐに運設資金(設備資金+運転資金)」に切り替えて、稟議書を書き直していたなぁと。。。
【一日一新】
コメダ シロノワール栗