株式会社サイゼリヤの財務資料が気になったので確認してみました。
日本最大のイタリアンレストラン
「集客のための広告宣伝は打たない。」
という徹底した経営スタイルで、
「全世界に1,553店舗を出店」するイタリアンレストランの株式会社サイゼリヤ。
社会人になった頃の先輩に、
「サイゼリヤで飲むのが一番コスパはいい。」と言われたことがいまでも忘れられないなぁと。
たしかに「サラダや生ハム、辛味チキンなど」のつまみのメニューも豊富だといえます。
また「ミラノ風ドリア」は、いまでも行くと必ず頼んでしまうほど好きなメニューです。
そんな株式会社サイゼリヤの財務資料が気になったので調べてみました。
株式会社サイゼリヤの財務資料を確認してみた
それではインターネットで確認できる資料で、株式会社サイゼリヤの財務資料を確認していきます。
損益計算書を確認してみる
まずは、利益構造を確認することができる損益計算書を確認していきます。
売上高を確認してみる
直近決算の2021年8月期の売上高は約1,265億円となっています。
やはりというべきか、新型コロナウイルスの影響で2019年8月期と比較をすると、売上高は約20%減少しています。
そして国内店舗の2021年8月期の売上高は、約861億円。
国内店舗は如実に新型コロナウイルスの影響を受けているといえます。
国内店舗数は2021年8月時点で1,089店となっており、1店舗当たりの売上高は約7,900万円。
また、海外店舗の2021年8月期の売上高は、約40億円となっており売上は増加しています。
「なぜ、海外店舗の売上は増加をしているんだろう。」
といえば、店舗数が428店舗から464店舗に増えているからだといえます。
ただ、海外店1店舗当たりの売上高は2019年8月期が約9,100万円でしたが、
2021年8月期は約8,700万円となっているので、新型コロナウイルスの影響は受けているのでしょう。
ちなみに、居酒屋チェーンの㈱鳥貴族HDの2021年7月期の売上高は前期比で約△43%となっています。
なので、業態の違いもありますが、サイゼリヤの方が新型コロナウイルスの影響が少ないといえるでしょう。
売上原価を確認してみる
飲食業の重要な指標となる売上原価率は、約38%となっています。
単純には言えないでしょうが、わたしが好きなミラノ風ドリアの原価が114円(300円×38%)だとすると、
「凄い企業努力だよなぁ。」と驚愕してしまいます。。。
ちなみに㈱すかいらーくHDや㈱鳥貴族HDの原価率は、約31%となっています。
なので「サイゼリヤは原材料にお金をかけている。」といえるでしょう。
営業利益を確認してみる
事業の稼ぐ力を表すとも言われている営業利益は、約−23億円となっており2期連続で営業赤字となっています。
かつては営業利益率が6〜7%ほどあったので、新型コロナウイルスの影響は大きな痛手だといえるでしょう。
「営業利益が赤字なのに経常利益も当期純利益も黒字じゃん。」
という理由は、補助金や助成金の収入が約51億円あったからだといえます。
新型コロナウイルスの影響で当期純利益も赤字となりそうなところを、
「補助金関係に救われた。」ともいえなくないですが、外部環境を考えると仕方がないことでしょう。
貸借対照表を確認してみる
現預金は約553億円ほど保有しており、月商の約5ヶ月分となっています。
上場企業ということもありますが「年商分のキャッシュを持て。」というのは難しいのでしょう。
また、現預金は前期よりも約130億円残高を増やしています。
現預金が増えている要因のひとつとして、固定負債の長期借入金が増えているので、
「銀行借入を125億円分行なったから。」だということが確認できるといえます。
おそらく新型コロナウイルスの影響を考慮して「手元資金を厚くしているのではないか。」と考えられるでしょう。
純資産額は増えていますが、自己資本比率は66.4%から60.1%と減少していますが、十分な数字だといえます。
キャッシュフロー計算書を確認してみる
キャッシュフロー計算書を確認すると、営業によるキャッシュフローは約122億円の黒字となっています。
当期純利益が約18億円であるのに対して、
営業キャッシュフローがかなり大きな金額となっている要因は「減価償却費があるから。」ということが確認できます。
それとともに、投資活動によるキャッシュフローの有形固定資産の取得による支出を確認すると、
「飲食業は設備投資に一定の資金が必要となる。」ということが確認できるといえるでしょう。
「飲食業は設備投資に一定の資金が必要となる。」とはいっても、
短期借入金や長期借入金はコロナ禍以前にはなかったということも確認できます。
まとめ
㈱サイゼリヤは「原価率が高く、コスパがいいイタリアンレストラン。」
ということは、この財務資料で確認できたといえるでしょう。
とはいっても「新型コロナウイルスの影響は避けられなかった。」といえます。
また、新型コロナウイルスの影響を主因として営業利益が赤字だったにも関わらず、
「配当をしなきゃならないんだなぁ」と(約9億円の配当)。
上場企業は厳しいですね。
【おわりに】
サイゼリヤといえば、創業者の正垣泰彦さんのこの本はタイトルも含めて衝撃を受けたなぁと。
また、他の飲食店経営者の本にもたびたびサイゼリヤが出てくるというのは、いい経営をしているといえるのでしょう。
どれもおすすめ本です。
【一日一新】
永田町までドライブ