銀行融資を受けるためには損益計算書だけではなく「貸借対照表のここだけ」でも確認しよう

「今期は黒字だった。」

というように、損益計算書を確認することはわりと多いものですよね。

とはいっても、銀行融資の際に銀行員は「貸借対照表を頻繁に確認している」ので、

まずはポイントを絞って確認してみてはいかがでしょうか。


貸借対照表を確認すると靄がなくなるかも。


銀行員は損益計算書よりも貸借対照表を見る時間のほうが長い


銀行融資の可否判断のひとつとして、損益計算書が黒字かどうかということがあります。

その損益計算書は、

銀行に与える影響度  営業利益 > 経常利益 > 当期純利益

というように、「営業利益が黒字であり、経常利益も黒字。」ということが、当期純利益だけが黒字の場合よりも、銀行からの評価が高くなるもの。

なので、「営業利益はいくらなのか。」といったことは、銀行融資においては大切なことです。

とはいっても、実際の融資の現場において銀行員は、

損益計算書よりも貸借対照表を確認している時間のほうが長い。」といえます。

たとえば、「貸借対照表を3期分並べて、推移を確認する。」

「貸借対照表の科目と内訳概況書(銀行員はこのあたりの書類を附属明細書と呼んでいます)を行ったり来たりして、不審な点を探す。」

ということを頻繁にしています。

このようなことをしているにも関わらず、「貸借対照表で何かしらの調整」が施されていることに気が付かずにいると、

「上司などに、厳しく指導される。」

ということになってしまいます。

なので、銀行融資の可否判断というのは損益計算書の確認は「ほどほど」にして、

貸借対照表を「がっつり確認している」ものなのです。



貸借対照表のここだけでも確認してみる


「損益計算書と比べると、よくわからないのが貸借対照表。」

ということをよく伺います。

なので、銀行融資を受けるなら「貸借対照表の最低限ここだけは確認してみよう。」という部分を挙げてみます。

自己資本

融資の可否というのは、決算書を分析して判断をすることがメインとなります。

それにも関わらず銀行員というのは、

「それほど決算書を眺めている時間はない。」ということがあります。

特に、年商が数億円程度までの会社の決算書であると、

「そんな会社の財務分析にあまり時間を使ってはいけない。」

という風潮があったりするものです。

なので、なるべく効率的に決算書の分析をしなければなりません。

その決算書の分析のなかで、貸借対照表を確認するときにまず確認する箇所が、純資産になります。

銀行員というのは、決算書を貰ったら貸借対照表の右下をすぐに確認しているといえます。

それによって、「会社のいままでの業績を予測しながら他の科目も見ていく。」ということをしていきます。

ということで、じぶん自身で貸借対照表を確認する場合にも、「純資産がいくらある」のかをまずは確認してみましょう。

純資産というのはプラスであることが望ましく、プラスである場合には、

自己資本比率 = 純資産(自己資本) ÷ 総資産(総資本)

というように、自己資本比率が何%あるのかといったことが、重要な指標となります。

自己資本比率が高いと、財務の安全性が高いという判断になるので、

「融資をしたお金が貸し倒れる可能性も低くなる。」ということになります。

自己資本比率は、ひとつの目安として20%以上は欲しいといったところだといえるかもしれません。

また、純資産がマイナスになっていると債務超過ということになるので、

「この会社は、債務超過だからあまり積極的には取引はできないかも。」

ということ銀行としては考えることになります。

借入金額

「自己資本比率は何%ありそうか。」

を確認したあとには、「借入金額がいくらあるのか。」

ということを銀行員は確認することになります。

その借入金額を確認したら附属明細書を確認し、

「どの銀行がいくら融資しているのか。」ということを確認しているのが、銀行員の習性だといえます。

なので、決算書における借入金はいくらあるのかということも確認しておきましょう。

その際には、適正な借入金額というものも気になるかもしれません。

とはいっても、適正な借入金額というのはその事業の売上規模によって変わってくることになります。

そこで、ひとまずは借入金月商倍率という指標を参考としておきましょう。

借入金月商倍率とは、

借入金月商倍率 = 借入金額 ÷ 月商

というように計算することになります。

銀行員としては「借入金月商倍率が3ヶ月以内。」であれば、それほど警戒をすることはありません。

しかし、借入金月商倍率が3ヶ月を超えてくると、

「この会社の借入金は、ちょっと多めかも。」ということを考えるようにもなります。

ただ、借入金月商倍率はそれだけで「借入れが過多かどうかを判断するには早すぎる。」ともいえるものです。

なぜなら、「銀行融資を受けてでも、現預金を多めに持っておく。」

というように、「いざというときに備えて現預金と借入金を両建て持つ。」

というスタンスの会社も多いからです(わたしはこのようなスタンスをおすすめします)。

そのような財務戦略を取っている場合には、借入金月商倍率が高くなってしまうということもあります。

なので、実質借入金額から借入金月商倍率をさらに計算してみるということも必要です。

実質借入金額というのは、

実質借入金額 = 借入金 − 現預金

というように計算されます。

すると、「借入金月商倍率では3ヶ月を超えてくるけど、実質借入金をベースにしたらそれほど多くはなかった。」ということもあるでしょう。

余談としては、借入金に関しては決算書だけではなく、毎月「借入金の金額や預金額を確認しておくべき。」だともいえます。

不良資産

「貸借対照表の数字を、そのまま真に受けるわけではない。」

というのが、銀行員の貸借対照表を確認するスタンスだといえます。

「この金額は適正な金額なのか。」

というように、常に不良資産や簿外債務の疑いを持って貸借対照表を確認しているのが、銀行員の習性です。

たとえば、「売上高が前期とそれほど変わっていないのに、棚卸資産(在庫)の金額が増えている。」

ということがあると、粉飾を疑うことになります。

他にも、「売掛金の内訳金額が、前期と同じ金額のものがあれば不良債権だ。」と疑うこともあります。

なので、じぶんで貸借対照表を確認する場合にも「不良資産などはないか。」というスタンスで確認をしていきましょう。

また、「本当は不良資産ではないのに、不良資産っぽく見えるもの。」というのもあるかもしれません。

そのようなときには、銀行員に対してその貸借対照表の数字の根拠を説明するようにしましょう。

銀行員というのは、ただでさえ中小企業の決算書の精度に疑いを持っています。

「本当に不良資産。」であれば今後の対応を説明する必要がありますし、

「不良資産っぽく見えるけど不良資産でない。」のであれば、説明をする必要があるといえます。

「本当は不良資産ではないのに、不良資産だとみなされて実質債務超過。」

であると判断をされてしまうと、受けられる融資も受けられなくなってしまいます。

このような説明は、A4一枚に簡単にでもいいので書類にして説明をすることで、より説得力が増すものだといえます。


まとめ


「貸借対照表なんて見なくても、会社は回っている。」

などと言いたくなる気持ちもわかります。

それでも、貸借対照表を確認することで現状の把握ができますし、つまらない疑いを晴らすこともできます。

「貸借対照表を理解していると、銀行にも一目置かれる存在になれる。」

ということもあるので、じぶんのレベルを上げていきましょう。



【おわりに】

改めてマーベル映画のMCUをすべて観ようとディズニープラスに再加入してみました。

全作品を観たことはなかったので、公開順通りに観ていこうとおもいます。

やっぱり、アイアンマンが一番好きかなぁと。


【一日一新】

ガストのなかにある「から好し」の定食

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