「うちは利益がたくさんあるから銀行融資は必要ない。」は危険な思考

「うちは利益がたくさんあるから銀行融資は必要ないんだよね。」

いやいや、利益とお金は別物なのでよく考えたほうがいいですよ。


ビルは融資を受けて建てる。


利益が多いほうが銀行からの評価は高い


「うん、今期も大幅な黒字決算だったなぁ。」

というような業績だと誇らしい気持ちになりますよね。

まして、利益が多く出ているということは、銀行員などが、

「社長、お借入れはどうですかぁ。」

とアプローチをしてくることも多いでしょう。

銀行融資というのは「利益が多く出ている会社であれば、貸し倒れる可能性は低い。」

と銀行は考えるので、貸したくて仕方がない会社ということになります。

その銀行が融資を実行する際の判断とする指標のひとつに、返済原資という考え方があります。

銀行としては、返済原資の金額が大きければ大きいほど、融資できる金額が増えると考えます。

その返済原資とは、

返済原資 = 税引き後当期純利益 + 減価償却費

というように計算されます。

たとえば、減価償却費がゼロ円で、税引き後当期純利益が1億円の会社の返済原資は、

返済原資(1億円) = 税引き後当期純利益(1億円) + 減価償却費(0円)

ということになります。

また、減価償却費がゼロ円で、税引き後当期純利益が1,000万円の会社の返済原資は、

返済原資(1,000万円) = 税引き後当期純利益(1,000万円) + 減価償却費(0円)

ということになります。

なので、銀行としては、

「返済原資が多くある、税引き後当期純利益が1億円ある会社に融資をしたほうが安全だ。」

と考えることになります。

しかし、そのような会社のなかには「うちは儲かっているから銀行融資なんて必要ないよ。」

と言われる方がいます。

「利益が多額にある」とはいっても、

「使えるお金が多くある」ということとは別の話なのにです。



利益があっても資金があるとは限らない


決算書が黒字だったとしても、その利益額がそのままお金として残っているわけではありません。

利益というのは、

売上 − 経費 = 利益

というように、計算されるものです。

このときにすべての取引が現金で行われていれば、利益の金額がそのままお金として手元にあることになります。

しかし、現実には「せっかく売り上げたのに、お金として入金されるのはかなり先。」

ということもあるでしょう。

たとえば、今月末に売り上げて、翌月末に手形で貰い、その手形の期日が120日後だった場合には、

実際にお金になるまで、150日の時間がかかってしまいます。

また、在庫や設備などは支出したのに経費になっていないということもあります。

そうすると経費になっていないので、利益要因にはなりますが、お金は減っているということもあるのです。

このようなことがあるので、「利益は幻想」だという人もいます。

利益が出ているということは、「うまく事業はいっている」ということになりますが、

「お金がうまく回っている。」ということとは、別の話なのです。

なので、利益が出ているときほど、預金残高を注意深く確認する必要があるといえます。


利益があるときに銀行融資を受けておかないと。。。


銀行融資をスムーズに受けられるタイミングは、決算書の利益が出ている黒字決算のときになります。

まして、その利益金額がより多く出ているときのほうが、融資をより受けやすいといえるでしょう。

たしかに、決算書に多額の利益が出ているといっても、

「役員報酬をかなり低い金額にして、利益調整している。」といった場合や、

「本来は計上すべき経費を計上しないで、繰り延べている。」というように、

何らかの操作がされている決算書であれば、利益が出ていても銀行融資を受ける難易度は高くなります。

しかし、そのような操作をせずに利益が多く出ている状態のときには、その決算書を使い銀行融資を積極的に受けておくべきでしょう。

「多くの利益が出ているということは、運転資金の金額も多額になっている。」ことでしょうし、

「設備への投資も多く行なっている。」ことも起きているはずです。

決算書というのは、税金の計算をして税金を支払ったら「それでおしまい」ということではありません。

その決算書というのは、次の決算書ができるまでの1年間、事業評価が決まる重要な資料となります。

なので、前期の決算書は超絶な黒字だったとしても、

直近の決算書が赤字であるとその後1年間、融資を受けられる金額というのは少なくなってしまいます。

「前期は黒字だったんだから、今期の業績は甘めに見てなんとか融資をしてくれないか。」

と懇意にしている銀行員に相談しても、直近の決算書では難しいということもあります。

銀行融資の際に重要な指標となる返済原資は、多くの場合に決算書をベースとして計算されます。

だからこそ、利益が多く出ていて「まじでイケてるぜ」というような業績のときに、銀行融資を受けてお金を持っておくべきなのです。

銀行員としても、

「前期にあれだけ借りてくれと頼んだのに、業績が悪くなったら掌返しかよっ。」

と思うものです。

特に銀行融資の現場にいる人間というのは、比較的若手の方が多いものです。

そのような事情も考慮せずに、大きな利益が出ているからと、銀行員にぞんざいな態度を取っていると、仲をこじらせてしまうこともあるかもしれません。


まとめ


利益が出ているということは、事業がうまくいっているということです。

しかし、「利益が出ているからといってもお金を潤沢に持っているわけではない。」

ということを心に留めておきましょう。

「利益が出ているのに資金繰りが厳しい。」

このような事業者を銀行は大得意先としたいものですから。


【おわりに】

都内を車で走っていると、合流するときになかなか譲ってくれないことがあります。

みんなでもっと譲り合おうよと。

わたしは結構譲る方です。。。


【一日一新】

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