銀行融資では、借入金利よりも借入金額を重視してみましょう。
金利だけを重視する経営者は多い
銀行員時代に、とにかく良くいわれた言葉が、
「金利が安かったら借りる。」
であったり、
「預金金利は雀の涙なんだから、借入の金利を下げてくれ。」
といった言葉です。
銀行員として融資セールスをしていて、「金利が安ければ」といわれる経営者は本当に多いものでした。
これは、「借りてでもお金を持つという効果」よりも、「お金が出ていくということだけ」に目が向いてしまった誤った考えです。
たしかに、融資を受けた場合には、金利は支出しなければならない経費になるので、その支出が少ない方がいいですよね。
とはいっても、銀行融資を受ける際には、「借入金利よりも借入金額」を重視して申込みをしたほうがいいです。
銀行融資を受ける場合には、金利よりも金額を重視すべき3つの理由
それでは「金利よりも金額を重視すべき。」な理由をみていきましょう。
金利はお金を買う必要経費にすぎないから
事業というのは売上を上げるために、仕入れという必要経費を支払うことで、売上を上げることができます。
その事業を営むなかで、売上を上げる以外にお金を手に入れる方法のひとつが、銀行から融資を受けることです。
その銀行融資は、借りると金利の支払いが伴うもの。
「だからその金利がもったいないから、借入金額を低くする。」
「もしくは借入自体をしない。」
というスタンスの経営者の方は、少なくないものです。
このように、
「金利がもったいないから銀行融資は受けない。」
という考えだと、不測の事態に耐えられないということになってしまいます。
「借入金利というのは、銀行からお金を買うため」の必要経費なのです。
売上を上げてお金を得るためには、必ず必要経費が必要になります。
銀行融資における借入金利は、その売上を上げるために必要な必要経費とおなじく、お金を買うための必要経費。
そう、
「金利は事業を強くするための必要経費。」
と考えるべきです。
金利がもったいないという考え方が、事業を窮地に追い詰めているということもあります。
「必要経費をかけずに事業を営んでいくと、いずれはお金はなくなっていくもの。」
お金をなくさないために、借入金利は事業に必要な経費と考えて、借入金利よりは借入金額を重視すべきです。
金額を持つことで選択肢が増えるから
借金が怖いからと無借金経営にこだわると、ほとんどの中小企業はギリギリの資金繰りになります。
資金繰りに追われていると、お金も落ち着きませんし、それ以上に心が落ち着かないということになるとおもいます。
「経営というのは、心を落ち着かせて営むもの。」です。
その心を落ち着かせるためには、必要経費の金利を支払ってでも、お金を多く持つということが大切なことです。
借金が怖いからと、
よりは、
の方が、取れる選択肢が増えますし、事業の成長スピードも早くなるものです。
しかも、銀行融資の返済というのは多くの場合、割賦返済です。
1,000万円を5年返済で借りた場合には、年間の返済元金は200万円。
なので、万が一事業に失敗をしても、返済には時間的な猶予があります。
これが、金利がもったいないからとギリギリの資金繰りで無借金経営などをしていて、
「うちは無借金経営だから、簡単に借りられるだろう。」
と考えるかもしれませんが、それは想像以上に難しいことです。
銀行員というのは、融資を実行したくて仕方がないのですが、決算書や経営状況というものは常に疑っています。
このような心理的状況なので、金利を嫌がり無借金経営の会社が融資を申し込んでくると、
「なぜ、いままで無借金経営だったのに今回融資を申し込んでいるんだろう。臭うなぁ。」
「この決算書はホンモノなのか。」
といったことを考えてしまいます。
「金利がもったいないから」と借入金額を少なくしていたり、無借金経営の場合には、事業の選択肢を狭めていることになります。
金利を怖がりすぎると、いざというときにすぐに事業が傾いてしまいます。
実際に金利を計算するとそれほどでもないから
銀行融資を受ける場合には、金利はかかるものです。
その金利を恐れて、借入をしないと考えるならば、実際にどのくらいの「金額」が「金利」としてかかるのかを計算をしてみるべきです。
たとえば、
年間の金利の支払い金額は、1,000万円×1.5%=15万円。
そして月の金利の支払い額は、15万円÷12=12,500円。
「何だよ、やっぱり金利って高いじゃないかよ。」
とおもうでしょうか。
たしかに、「月に12,500円の利益を上げるには、売上をどれだけ上げればいいんだよ。」とおもうかもしれません。
とはいっても、銀行融資を受けたことでお金として1,000万円を手に入れています。
事業を営んでいるのであれば、金利よりも実際に使える金額に着目すべきです。
金利が3%でも、金利が1%でも事業の経費として考えてみれば、それほど気にすべき金額ではありません。
銀行融資における金利の支払い額というのは、実は思っているほど高くないのです。
それよりも、「事業の目的のひとつは、永続すること。」と考えましょう。
なるべく永続するためには、支払い金利額に目を向けるよりも、預金残高に入金された預金金額に注目するべきです。
まとめ
事業を始めたのであれば、事業にはいくつかの必要経費がかかるものです。
そのなかのひとつが、お金を買うために仕入れた借入金利です。
借入金利を怖がって、借入金額を少なくしすぎると取れる選択肢が狭まり、結果出来ないことが増えてしまいます。
「事業に専念して、事業を強くする。」
そのためには、必要経費である金利を怖がるよりも、必要金額のお金を持っていない状態を恐れるべきです。
金利は事業に必要な経費と考える。
この考えを持って、金利よりは金額を重視して銀行融資の対応をしてみましょう。
【おわりに】
今日は、久々にかなり雨に降られました。
雨が降っていると、近場にあるはずの事務所でも、
「あぁ、行くのがしんどい。」と思ったりはあります。
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