「新しい決算書ができたら融資の判断をさせてほしい。」と銀行員から言われた方もいるかもしれません。
このような言葉にはどのような意図があるのかを挙げていきます。
銀行員は試算表だけをあてにするわけにはいかない
「今期の業績はかなり調子がいいからこの試算表を見てくれないか。」などといったように、
「試算表をベースにしてうちの会社を評価してほしい。」というような気持ちで、銀行員とコミュニケーションを取ることもあったりするものでしょう。
たしかに、銀行員というのは融資の検討をする際に決算日以降の業績を確認するため、試算表の提出を求めるものだといえます。
なので、銀行融資の申し込みをした際に試算表の提供を求めて、
「今期の試算表はまだできてないんだよね。。。」
といったセリフを聞くと「この会社は業績管理が杜撰な会社。」だと銀行員にみなされてしまうこともないとはいえません。
ただ、そのようなこともなく「折に触れて試算表を銀行員に渡しながら業績報告を行っている。」ということもあるものでしょう。
その際に「業績のいい試算表を評価してもらい、希望金額の融資を受けたい。」と考えることもあるかもしれません。
とはいっても、この際に銀行員から「新しい決算書を確認してから新規融資の取り組みをさせて欲しい。」と言われる場合もあったりするといえます。
新しい決算書を見てから融資の判断をさせて欲しいと銀行員が言う理由
それでは「銀行員はなぜ新しい決算書を確認してから融資の判断をしたい。」と伝えるのかの理由を3つほど挙げていきます。
試算表よりも決算書のほうが信用できるから
銀行に融資を申し込む際には「決算書を提出する。」のは必須なことだといえます。
その決算書以外にも「試算表や資金繰り表などの提出を銀行員から求められる。」ということも少なくないものでしょう。
たとえば、期首から半年以上経過している場合であれば、担当の銀行員は必ず試算表の提出を求めるものだといえます。
なので、銀行融資において決算書だけではなく「試算表も提出しなければならない重要な資料になる。」ということはあったりするものです。
その際に「決算書が赤字だから黒字になっている試算表を評価してほしい。。。」と考えることもあるかもしれません。
「前期は業界の動向もあって業績は赤字だったけど、今期は期首からここまで黒字になっていてこのままいけば黒字決算となりそうだ。」
といったように「決算書よりも試算表を評価して融資をして欲しい。」と言ったような話をされる社長も少なくないといえます。
とはいっても、銀行融資における業績評価においては、
赤字の決算書と黒字の試算表であれば「赤字の決算書をベースに銀行員は融資判断をする。」といえるでしょう。
なぜ試算表よりも決算書を信用するのかといえば、
「試算表はまだ税務署などへの提出が完了しておらず、内容変更可能な非公式な書類。」だと銀行員は考えているからです。
また、銀行員というのは「決算直前までの試算表が黒字だったにも関わらず、いざ決算書を受け取ると赤字決算になっていた。。。」というような経験をしているものだったりします。
すると、試算表よりも決算書のほうを重要な資料として信頼するため、
「新しい決算書ができてから融資の判断をさせて欲しい。」ということを伝える場合があるといえます。
融資を実行する間隔が短いから
「新しい決算書が仕上がるまで融資の申し込みは待ってもらえませんか。。。」
などと銀行員から伝えられた場合には「融資を申し込む間隔が短すぎるから。」といった理由もあるといえます。
「銀行融資を受ける際にはどの程度の間隔を空けて申し込んだ方がいいのか。」といえば正解はないといえるでしょう。
事業の規模によっては「四半期ごとに新規の融資が受けられる場合もありますし、年に1回程度しか融資が受けられない。」といったこともあるものです。
ただ、ひとつの目安としては「前回の融資から半年以上は間隔を空けて申し込みをした方がいい。」といえます。
なぜなら銀行融資を申し込む際には「資金繰り予定表などを提出する。」ということも少なくないからです。
その銀行に提出する資金繰り予定表というのは「半年先から1年程度先までの予定表を求められる。」といえるでしょう。
この資金繰り予定表に基づいて銀行員は資金需要の確認をするので、
「以前貰った資金繰り予定表にはなかった資金需要が出てきてしまった。」
というのは「前回の融資の申し込みの精査が甘かった。」ということにもなるものです。
それとともに「資金繰りの精査もできない会社。」だというような認識をされてしまうものだといえます。
なので、前回の融資から半年ほど経過していない場合には、
「一旦、新しい決算書の内容を確認してから融資の判断をしたい。」と銀行員は答えるものだったりします。
融資が実行できる見込みが低いから
様々な事業者の方と会うなかで銀行員が避けたいことといえば、
「トラブルに巻き込まれる。。。」というようなことだったりするといえます。
平和に日常業務を行っていけば労働時間を長くすることも避けられますし、
上司から詰められるということも少なかったりするのが、銀行員の日常だといえるものです。
ただ、ひとたびトラブルに巻き込まれたりすると、
「労働時間も長くなり上司からも詰められ、精神的な疲労を抱える。。。」というのが銀行員の仕事だといえるかもしれません。
そのようなことを考えている銀行員が避けたいトラブルのひとつといえば、
「融資可否の判断を巡ってクレームを受ける。。。」ということだといえます。
なので、銀行員というのは「この会社には融資が実行できなそうかも。」と感じていたとしても、
「御社に融資を行うことは無理です。」などと、直接的に明言することはトラブルを避けるために行なわないものです。
また、融資が難しい会社だと感じていたとしても、
「世の中の情勢の変化によって融資可能となる商品が開発される。」ということもあったりするといえます。
このような事情もあり銀行員というのは不用意に「融資ができる見込みはありません。」とは言わないものだったりします。
そのような際に逃げ口上として銀行員が使う言葉のひとつが、
「新しい決算書が出来上がってから融資の検討をさせてください。」というような文言だといえます。
それでも、このような言葉をかけられたりすると「新しい決算書が出来上がったら融資が受けられるかもしれない。」と考えることもあるかもしれません。
とはいっても、銀行員からすると「融資の断り文句。」だという場合もあるので、
銀行員の言葉を鵜呑みにせず、銀行融資が受けられそうな状態かどうかを冷静に確認してみるべきでしょう。
もし、このような言葉に浮かれてしまうのであれば、
「新しい決算書ができた場合には融資が受けられるのか。」というような踏み込んだ発言を銀行員に行なってみるのもありだといえます。
その回答によって資金繰りの対策を練り直していく必要があるといえるものですから。
まとめ
銀行員の言葉の裏を読み取るもの銀行融資対応では必要なことだといえます。
【おわりに】
「決算書ができてから。」
などと言いながら、人事異動を期待するということもあったなぁと。。。
【一日一新】
あること