簡単に儲かるような商売はそうそうありません。
儲けられそうな話しは、わりとよく転がっている
世の中には、「簡単に儲けられそうな話」はわりとよく転がっているものです。
たとえば、
「銀行の預金利息は、雀の涙。銀行にお金を置いておくなんて勿体ない。〇〇にお金を預ければ年利回り〇〇%!」
「このビジネスモデルをあなただけに伝授します!」
といった、「ここだけの話し」というような話しを見つけたときには、非常にお得な情報を手に入れた感覚になり、
「すぐにやらなきゃ。」
と考えるかもしれません。
特にいまの仕事に満足していないと、このような話しに飛びつきたくなる気持ちもわかります。
また、ここまで怪しい話ではなくても、事業をやっている友人などに、
「ノウハウを提供するから、おなじ内容の事業をやってみないか。手助けするよ。」
といった話しを貰うこともあるかもしれません。
その友人には悪気はないでしょうし、本心で勧めていることでしょう。
そして、うまくいく可能性もあるかもしれません。
そんなときに、最低限注意しておくべき事柄があるので、心に留めておきましょう。
ひとの傘のもとで事業をするなら、せめて注意すべきこと
友人の手助けで、事業を始めようとなったとき。
当然、そのときのじぶんには、その業界の慣習や事業の知識がないことだと思います。
そんなときには、まずはじぶんのオリジナルな考えなどは捨てて、うまくやっている友人のやり方をひたすら真似をしましょう。
そこにはあなたの考えは、一切必要ありません。
特にその友人の事業が、高価格帯のものや、低価格帯のものだとこう考えるはずです
「これよりも少し安くしたら、これよりも少し高くしたら。」
「うまくいくのではないか」と考えるかもしれません。
いわゆるハイリスク・ハイリターンでもなく、ローリスク・ローリターンでもない、
「ミドルリスク・ミドルリターンの市場を作れば良いんじゃないか。」と考えることでしょう。
しかし、それは無理です。
市場というのは、その市場が長く存在をしていればしているほど、ハイリスク・ハイリターンの市場かローリスクローリターンの市場しかありえないのです。
なので、その友人の事業もそのどちらかによっているのは、成功をしている要因なのです。
友人の手助けを受ける際には、オリジナルな考えはやめて徹底的に友人の真似をしましょう。
しかし、それ以上に大切なことは、会計に関する知識をつけるということです。
会計の知識がないと事業はうまくいかない
友人から、「この事業をやってみないか。」
といわれたら信頼を感じたり、嬉しさが溢れてくることでしょう。
ただ、その友人が一流の経営者であれば、採算度外視であなたに事業のノウハウを提供しようとは思わないものです。
おそらく友人はこう言うでしょう。
「事業のノウハウを提供する代わりに、売上の20%を一定期間報酬として支払ってくれ。」と。
たしかに、一定のノウハウを身に着けて事業を軌道に乗せるということは至難の業です。
すると、一定の手数料として報酬を支払うのは「理にかなっていること」とも考えられます。
しかし、売上から手数料を取られてしまうことは、経営にあたえるインパンクトは非常に大きなものなのです。
その要因を確認していきましょう。
たとえば、手数料の支払いがない場合で、
「月の売上が1,000万円で、原価率が40%、営業利益率が10%のビジネスモデル」だったとします。
売上に対して20%の手数料の場合
まず、売上に対して20%の手数料を支払うというモデルだと、どの程度の利益が残るのかみてみます。
利益の計算式は、
売上1,000万円−手数料200万円−原価400万円−販管費500万円
となります。
この際の利益はいくらかというと、
マイナス100万円になります。
手数料が経営に与えるインパクトはかなり多いですね。
仮に経営ノウハウに対する手数料の支払期間は3年という契約だったとすると、3年間は赤字ということになってしまいます。
ここで、事業を営んだことはないけど、会計の知識を持っている場合のあなたは、友人にこうやって交渉します。
「売上に20%は厳しいから、限界利益の25%にしてくれないか。」
限界利益に対して25%の手数料の場合
この際の利益の計算式は、
売上1,000万円−原価400万円−手数料150万円−販管費500万円
となり利益は、
マイナス50万円となります。
手数料の%は上がりましたが、赤字額は減りました。
もっと図太い交渉をすると、
「売上に20%は厳しいから、限界利益の20%にしてくれないか。」
という交渉もありでしょう。
限界利益に対して20%の手数料の場合
この際の利益の計算式は、
売上1,000万円−原価400万円−手数料120万円−販管費500万円
となり利益は、
マイナス20万円となります。
これですと経営に与えるインパクトはかなり少なくなります。
さらに、会計に明るい経営者として一流を目指すならこういうこともいえるでしょう。
「売上に20%は厳しいから、営業利益の50%にしてくれないか。」
営業利益に対して50%の手数料の場合
この際の利益の計算式は、
売上1,000万円−原価400万円−販管費500万円−手数料50万円
となるので利益額は、
黒字の50万円になります。
これだと、赤字にもならないので経営もかなり安定して事業が営めますよね。
友人に勧められて事業を営むなら、せめて会計の知識は身につけよう
友人が、事業を営んだことがないあなたに、事業のノウハウを提供するのは、
「友人として助けてあげたい。」
という気持ちも当然あることでしょう。
しかし、その友人が経営者として確かな腕があるならば、
「こいつからも儲けられないかな。」
と考えているはずです。
その際に、交渉のテーブルに上げられるのが、一定のロイヤリティとして手数料を支払ってくれと言うことです。
そして、いままでみてきたように、その手数料の支払いをどの金額を基準にするのかは重要なこと。
経営のインパクトが大きく異なるということです。
会計の知識を持っていないと、「売上の何%を寄越せと言われてそのまま、売上の金額がベース。」
で話しを進めていくことでしょう。
しかし、こういった交渉では売上をベースに考えていくのは、経営上非常に危険なことです。
せめて、売上から原価を引いた、限界利益(粗利益と考えても良いです)の金額で交渉しましょう。
それだけでも、「こいつは侮れないな」とその友人に、じぶんの経営者としての潜在能力を見せつけることができます。
さらに図太くいくなら営業利益をベースに交渉する。
これだけで、経営における資金繰りがかなり違って来るはずです。
まあ、友人がそれに納得をしてくれればの話ですけどね。。。
いずれにしても、事業をしようと考えるなら会計の知識を身に付けないと、身を滅ぼすことになりますよ。
【おわりに】
コロナの影響がかなり深刻になってきましたね。
12月はいろいろなイベントがあるところに、これだと経営的には非常に厳しい状態ですよね。
【一日一新】
e-honで書籍購入