「領収書さえあれば、何でも経費にできる。」という魔法は、フィクションの話なので惑わされないほうがいいかなぁというお話を。
税金の仕組みが理解できないのは仕方がない部分もある
「これって経費になるんだろうか。。。」
といったことは、事業を営んでいる場合や確定申告に取り組んでいるときに感じたりもするものでしょう。
たとえば「自宅で仕事をしているから家賃や水道光熱費を経費にしていいのかなぁ。。。」といったように。
たしかに「じぶんはおとな。」だといっても、会計や税金の仕組みについて学んだ方は少数派だといえるかもしれません。
それこそ、税金の素晴らしい仕組みのひとつである「超過累進税率」という、
「所得が上がったからといっても急に損をすることがないように。。。」といった配慮が理解できないこともあったりするものでしょう。
だからか、所得税の税率表を見て、
「所得が900万円以上になると急に税率が上がって、所得税の負担が33%になるのかよっ。。。」
「じゃあ、1,000万円の所得なら330万円も所得税を支払うのか。。。」などと思ってしまうのも仕方がないかもしれません。
(所得税は所得が上がったひとが急に税負担が増えないように配慮されています。)
(たとえば、1,000万円の所得の場合には3,300,000円−1,536,000円=1,764,000円となるので実質的に負担する税率は33%とはなりません。)
などというように「税金の世界ではなるべく不都合が生じるひとが最小となるように。」といった配慮はされているのです。
売上に貢献しているものが経費となる
「国民国家を運営していくにあたって収入(税金)は必要だけど、制度の歪みで損をするひとがいないように。。。」といった配慮からか、
といった計算式で税金の金額が決まるのではなく、
となっているのが税金の計算方法だといえるものです。
すると、このようなことを考えるものかもしれません。
「税金の支払金額を抑えたければ経費でエッジを攻める。」ことが賢い行いだと。。。
それこそ「売上を抜くのは脱税だけど、経費でエッジを効かせるのは節税。」などという魔法の言葉を聞いたことがあるものかもしれません。
ただ、経費の概念というのは「その支出がなければ売上はつくれないもの。」といった行為だといえます。
なので、自宅をオフィスとして事業としているのであれば、
「オフィスとして使用している部分に関しては売上に貢献しているので経費にすることができる。」といえるものです。
この際には「自宅という生活空間。」としての一面もあるので、ある程度合理的な方法で経費とする金額を按分して決める必要があるのです。
たとえば「自宅スペースの1/3をオフィスとして使用しているから、家賃や水道光熱費の1/3を事業の経費としよう。」などというルールを決める必要もあるといえます。
「領収書さえあれば何でも経費になる。」はそれほど効かない魔法
そして、事業の経費とするためにはその行為を証明する必要があるので、
「レシートや領収書、銀行口座の該当しページ。」などといったような証拠となる書類(もしくはデータ)も必要になるものです。
だからか、このような魔法が生まれるのでしょう。
「経費にできるかどうかの合理的な判断は、事業者であるあなたの主観に基づいて行なえばいいんです。」
「なので、領収書などの証拠となる書類さえあれば何でも経費にできるんです。」といったような魔法が。。。
たしかに「売上に貢献しているのかどうか。」といった経費の要件には客観性が必要だといえますが、事業者に委ねられている部分も多いものです。
それこそ、ある税理士も、
「リラックマのぬいぐるみは、税理士業を営む上での必要性を感じて購入したから経費になる。」などということを真剣に検討したといえます(ただのネタです)。。。
なので「経費にできるかどうかの判断については、専門家や税務署の職員でもラインが微妙に異なる。」ということもあったりするのです。
すると「じゃあ、どこからどこまでを経費と呼べるのか。」といったことを感じたりもするでしょう。
その際には「経費となるかどうかを迷った時点で、それはもう経費とは呼べない。」と考えていくべきです。
おそらく「これは売上に貢献しているから経費。」といったことは、迷わず秒で判断できるものでしょう。
にもかかわらず「これは経費に入れちゃえるのかな。。。」と迷ってしまったら、その時点でそれは経費ではないと考えたほうがいいのです。
「領収書さえ手に入れば何でも経費にできるって本にも書いてあったよ。。。」
などと言っている時点で「危険な魔法にかかっている。」ともいえるので、そんな経費の魔法はしっかりと解いていきましょう。
まとめ
証拠となる書類がなければ経費にする要件は整いませんが、
「領収書さえあれば経費になる。。。」という魔法は「メラ」ほどの効力もないといえます。
【おわりに】
確定申告の時期になると、資産家と言われるような方と接する機会が多くなるのも税理士業の特徴だといえるかもしれません。
た、単純に羨ましいなぁとも。。。
【一日一新】
麺屋 王道