いよいよ資金繰りが詰まってしまったときに支払いを止めたい順番

商売はいいときもあれば、悪いときもあるものです。

その悪いときに資金繰りを改善させるためには、支払いを止めるべき順番があります。


何度となく登る坂。


資金繰りの基本は、銀行から融資を受けてでもキャッシュを持つこと


事業を始める際には、まずは仕入先の確保を行うことになりますよね。

次に、その仕入れたものを「売るためのお客様を見つけていく」ということが、すべての事業の型になります。

その事業を行うなかで、必要なものが「キャッシュ」だといえます。

事業がどれだけ赤字でも、社長の個人資金をガンガン投入できるのであれば、その事業は潰れません(テスラなんかはこの代表例ですよね)。

反対に、どれだけ事業が黒字でも、売上げた代金が入金されなければ、「キャッシュ」がなくなり黒字倒産をしてしまいます。

この資金繰りを理解している社長ほど、うまく銀行と取引をして「銀行から融資を受ける必要性」を認識しているものです。

そうではない社長ほど、「無借金経営」という響きのいい言葉に魅了されて、正しい資金繰りができていないということがあります。

「経営の根幹は、キャッシュ。」

といえます。

しかし、その銀行も無尽蔵に融資をしてくれるわけではなく、

「事業が行き詰まっていることが明らかな場合には、もう融資をしてくれない。」

ということがあります。

「事業がうまく行かず、銀行からの追加融資も難しい状況になってしまった。」

長い間事業を営んでいれば、ときにはそのようなときもあるかもしれません(そのような状況に陥っても、見事に復活している事業者も多くいます)。

事業がうまく行かず、資金繰りが厳しい状態になったときには、

「資金繰りを改善させるために、支払いを止める順番。」

というものがあります。


資金繰り改善のために支払いを止める順番


「いま事業の状態が厳しく、資金繰りに窮している。」

といったときには、次に挙げる順番に従って、支払いを止めていきましょう。

銀行借入れの返済

資金繰りが詰まっているときには、まずは銀行に返済条件の変更を申し込み、キャッシュアウトを減らしていきましょう。

銀行融資の鉄則は、「資金繰りに困る前の経営状態がいいとき」に融資の申込みをするということです。

なぜなら、銀行も商売として融資を行っているので、「返済見込みがない先」に融資をすることは難しいからです。

銀行融資は、「銀行が喜んで融資ができる状態」であるときに、融資の申込みをすべきもの。

事業が行き詰まるっているときには、銀行も融資を出しにくいものです。

とはいっても、その事業が行き詰まって資金繰りに困っているときには、「銀行は手助け」をしてくれます。

資金繰りに困っているときには、「その手助けを受けるために」、まずは銀行に返済条件の変更を申し込みましょう。

銀行は、資金繰りに困っている取引先には、融資を出しにくいのですが、返済条件の変更であるリスケには応じてくれます。

なので、資金繰りに困ったときには、まずは銀行にリスケの申込みをしてキャッシュアウトを少なくすべきです。

銀行融資の返済は、キャッシュアウトはするものの経費にはならないので、さらに資金繰りに詰まってしまうという性格もあります。

「銀行にリスケなんて申し込んでも、応じてくれるもんなの?」

と思うかもしれませんが、

特に「地方銀行や信用金庫ではリスケに応じない」ということは少ないようにおもいます。

地方銀行の銀行員だったときにも、「えっ。こんな先にリスケしても事業再生は難しいのでは?」といった取引先にも銀行としてはリスケに応じていて、

「これも地域経済を守る地銀の使命だから。」

と薫陶を受けたことがあります。

なので資金繰りに困ったときには、まずは銀行に今後の「事業改善計画書」を持参して、いまのキャッシュアウトを減らすべくリスケの相談を行いましょう。

ちなみに銀行融資の返済をリスケすると、ほとんどの銀行で追加の融資は厳しくなるので注意が必要です。

売上に与えるインパクトが少ない経費

資金繰りが詰まっている場合には、銀行への返済を止めながら、

「事業の調子が良かったときには気が付かなかった」ような、売上には貢献しない実はムダだった支出を減らしていきましょう。

たとえば、「節税になるから。」といったことや、「役員退職金の積立を有利に行うため。」などといって加入した保険料の支払いは止めていく。

いまの資金繰りに困っているときに、将来の支払いに備える必要性は低いものです。

他には、「地代家賃を減らす」ためにより賃料の安い場所に移る。

さらには、不必要な支払手数料を減らしたり、役員報酬の削減を行うといったように、売上を上げるために必要な支出から遠い支払いからどんどんストップしていきましょう。

ちなみに資金繰りに詰まっているときほど、第三者の金言に触れたいとおもうこともあるかもしれません。

だからといって、「資金繰りコンサルタント」といった得体の知れない人物に、高額なコンサル料を支払うことはやめるべきです。

一時的に支出が減ったと思っていても、気が付かないうちにそのシガラミで余計な支出が増えることとなってしまうことも多いものです。

買掛金などの変動費に関する経費

銀行融資の返済や、売上に与えるインパクトが低い経費を削ることが資金繰りが詰まったときに、まず取るべき手順となります。

それでも資金繰りが改善しない場合には、売上に直接関係のある変動費に関する支出も減らしていくことが必要です。

材料代や外注費など売上に直接関係のある支払期限を、まずは引き伸ばして貰う。

それでも資金繰りが厳しい場合には、「より安くてそれほど質が悪くない材料に変更する」

といったように、支出が少なくて済むような材料に代えていくなどの必要もあるでしょう。

「売上を上げるために直接関係がある経費をやむを得ず削る。」

というのは、お客様の期待を裏切ることにもなりかねないので、将来の売上を失ってしまうということにもなります。

しかし、いまの資金繰りが厳しい場合には、「売上を上げるために直接関係のある支出」も削減しなければならないときもあります。

税金や社会保険料の支払い

次に資金繰りの改善を目指すために止めるべき支払いは、税金や社会保険料の支払いとなります。

税金や社会保険料の支払いを止めるといっても、勝手に支払いを辞めるということはすべきではありません。

これらの支払いは放置していると、差し押さえなどの滞納処分を受けてしまいます。

なので、銀行のリスケと同じように税務署や年金事務所に出向き、支払いの延期や分割払いの交渉をし、支払いを減らしていきましょう。

これらの支払いは、遅れれば遅れるほど高額な利息がかかってしまうので注意が必要ですが、目先のキャッシュアウトを減らすためには取らなければならない手段でもあります。

ちなみに、

「銀行融資を受けるくらいなら税金などを滞納するというスタンス。」

だという社長が稀にいますが、銀行の利息よりも税金の滞納の利息のほうが遥かに利率が高いので、賢い選択だとはいえません。

給与の支払い

資金繰りが行き詰まったので、「考えられる支出はすべて削るか止めてきた。」

となれば、最終的には従業員の給与支払いも停止するしかありません。

従業員の給与を減らす、もしくは辞めて貰うといった必要性も資金繰りの観点から出てくるでしょう。

人を雇って事業を営んでいると、経費のなかでも人件費の占める割合は大きいものです。

「じぶんは、いままでひとりもクビを切ったことがない。」

このような経営者のセリフは、カッコいいものかもしれません。

とはいっても、事業とは「じぶん達が自信のある製品や商品」を、お客様に届けるために行っているものです。

決して、「ずっと同じメンバーでその事業を営んでいく。」ということが正しいことではありません。

事業のステージによっては、必要のない人員というものも、どうしても出てきてしまうものです。

自信のある製品や商品をお客様に届け続けるためには、事業の継続が1番だということになります。

なので、資金繰りが詰まっている場合には、最後の手段として給与の支払いを停止するなどして、人件費の削減を選択しなければなりません。


まとめ


資金繰りの基本は、あくまでも

「左前になる前に、銀行融資を受けてでもキャッシュを持つ。」

ということです。

とはいっても、それでも資金繰りが詰まってしまうときがあるかとおもいます。

その際には、まず銀行に返済条件の変更を申込みながら、「売上に直接関係のない支出から順次削っていく。」ということです。

今回挙げた支出の削減は、実際の現場ではほぼ同時に行っていくことになります。

資金繰りが行き詰まったからといって、「もうおしまい」というわけではありません。

資金繰りが詰まり、事業が倒産しかけても「復活する会社」というのは少なくないものです。

だからこそ、支出を減らす順番を常に考えながら事業を営んでいきましょう。

その際には、「日々の経理をじぶんで行っておく」ということもおすすめなことです。


【おわりに】

冷めたご飯や冷めたお弁当が好きだったりします。

なんか冷めたものを食べることで、「ここからもっと這い上がろう。」

とハングリーな気持ちになったりするんですよね。


【一日一新】

びっくりドンキー チーズバーグデニッシュ

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