決算書は、黒字の方が銀行員としてもありがたいものでした。
決算書は出来上がってから1年間は使うもの
銀行員として、融資のために自己査定や稟議書を作成しているときに、赤字と黒字とでは書きやすさがずいぶん異なるということがありました。
さらに赤字の場合は、2期以上連続赤字や債務超過の状態だと、
「稟議を書くのに時間がかかりそうだし、こんな会社黒字化しないよなぁ。」
と考えてしまい、それらの書類作成に取り掛かる気持ちになれないということもありました。
案件や他の仕事が溜まっているときほど、
「簡単な仕事の方から手をつけたい。」
という気持ちになりますよね(わたしはあります)。
このように銀行員の気持ち的にも、決算書は黒字の方がありがたく、融資実行までのスピードも上がるもの。
経営の生命線でもある資金繰りを円滑にするには、当然決算書は黒字の方がいいのです。
また、決算書というのは、「出来上がって税金の支払いをしたらそれで終わり。」
とはならず、銀行融資の場合にはその後1年間に渡って、重要な資料となります。
また、税務調査の面からもその後3年間は重要な書類となりうるものです。
出来たら終わりではなく、その後数年に渡って影響がある決算書。
これを理解したら、出来るだけ戦略的に決算書を作成したほうがお得なことになります。
今期が赤字になりそうな決算書を何とか黒字にする3つの方法
今期が赤字になりそうなときに、なんとか黒字にできないかの方法をみていきましょう。
営業利益を黒字にする
「今期の決算は、最終赤字。」
このような場合には、営業損益だけでも黒字にできないかともがいてみましょう。
決算書を作成するときに、特に意識をしていないと経費は何でもかんでも、販管費に入れることになります。
税理士事務所の多くも、経費の計上は手間なのでほとんど販管費に計上をしています。
このなかで、今期だけ特別にかかった経費などは特別損益に計上をして、
「当期純利益は赤字だけど、営業利益は黒字。」
という決算書を作れないかと、理論武装をしてみましょう。
たとえば、人材採用にかかった紹介手数料や店舗の修繕費など。
こういった毎期あるわけではない経費を、販管費から特別損益の部に計上をして、せめて営業利益を黒字に出来ないかを検討してみるといいです。
ただ、この際に注意しなければならないのが、
「銀行は、貰った決算書の数字をそのまま財務分析をするわけではない。」
ということ。
最終赤字で営業利益が黒字の場合には、特別損益に計上されているものも本当に特別損益になるものか、かなり精査しています。
そういった事情を認識しながら、決算書の中でなぜこの経費を特別損益の部に計上したのかを丁寧に説明し、担当の銀行員を味方につけましょう。
何の説明もないと、
「つまらない小細工をしやがって。」
と特別損益に計上されているものを、販管費に計上し直すという無駄なこと(銀行員にとって)をします。
翌期に回せる経費を探す
今期にわざわざ支払わなくてもいいものは、決算日が過ぎてから購入し支払う。
1年分まとめて支払っているものがあれば、前払いしているものは前払費用などとして今期の経費から外す。
といったように、会計上認められている範囲で今期の経費を減らすための策を講じましょう。
また、無駄な経費は徹底的に削減をしましょう。
特に「節税保険」を支払っていて経費が膨らんでいるならば、解約をしましょう。
「節税保険」は、満期までかけるのではなくどこかで解約するもの。
「返戻率が低いから。」
といっても、それは無駄な「節税保険」に入ってしまったことが悪いことです。
「節税保険」は、保険事故でも起こらない限りは絶対に損をする、金融商品です。
ならば、決算が赤字予想であれば、
「資金繰りが向こう1年間厳しくなる決算書を作るより。」
は保険は解約をして削減したほうが賢いやり方です。
ちなみに、保険の解約で保険差益として利益が計上されても、銀行の財務分析としてはその利益はなかったこととして計算をされます。
「保険の解約で、銀行格付けが上がる。」
というのは嘘です。
値決めを変える
赤字が予想されるなら、売上があといくらあると黒字になるのかを計算してみる。
そうすると、そもそも売上の立て方を失敗している可能性もあります。
「経営は値決めだ。」と言われる方がいます。
「どれだけ売っても、たいして利益が出ない。」
「売上は上がるけど、粗利が少ないんだよね。。。営業利益でみると赤字かも。。。」
これらのことは創業時には仕方がないことでも、創業から数年立っているにも関わらず、赤字構造が続いているならば値決めを変えてみましょう。
「赤字であるということは、値決めが間違っている」場合もあります。
値決めを変えて、黒字体質にする。
簡単なことではないですが、決算書を何とか黒字にするためには、会計上の小手先のテクニックだけではなく、抜本的な事業構造の転換が必要な場合もあります。
まとめ
今期の業績が厳しい。
そういったときには、まずは事業構造を見直すべきです。
それとともに、会計上のテクニックを使い見栄えを意識した決算書を作成しましょう。
そのあとには、決算書の状況を銀行員にきちんと説明をする。
もし、説明が難しければ、A4一枚のカバーレターでいいので、今期の決算状況を箇条書きしておきましょう。
決算書の内容が悪いときほど、銀行員に丁寧な説明をし、
「どう改善に努めるのか。」
を説明したほうがいいですよ。
【おわりに】
雪が降るかと気持ちを作っていたのですが降らなかったですね。
おとなになると雪は降ってほしくないなと。。。
【一日一新】
いまの自転車にKURE5-56