銀行融資を受ける際の据置期間は、あまり積極的には設定しないほうがいいでしょう。
コロナ禍で主役を演じることとなった据置期間
新型コロナウイルスの流行により銀行融資の常識として大きく変わったものが、利子補給による実質的な無利子融資と返済の据置期間だといえるでしょう。
なかでも、返済までの期間を据え置く「据置期間」を設定することで、
「資金繰りが大幅に楽になった。」と感じた方も少なくないといえるかもしれません。
たしかに、新型コロナウイルス流行の初期段階では、
「銀行融資の返済に据置期間があるなんて知らなかった。」という社長も少なくなかったといえます。
ただ、コロナ融資では簡単に据置期間が設定できたので、
「返済をすることなくキャッシュが得られるなんて最高だ。」などと感じたといえるかもしれません。
また、当初は据置期間を半年や1年間で設定していたものを、
「それほど労力をかけることなく据置期間を3年間にして借り換える。」などということができた社長もいるものでしょう。
このようなこともあり、コロナ前までは「据置期間というのは特例であり長くても数ヶ月間。」というものだったのが、
「1年以上にも渡って据置期間が設定できるなら、今後の融資には必ず据置期間を設定したい。」と考えることもあるかもしれません。
銀行融資を受ける際に据置期間を積極的には設定しないほうがいい理由
銀行融資で得たお金というのは、
「借りたお金。」なので、売上で手に入れたお金とは異なり必ず返済をしなければなりません。
なので、融資の返済を行なうことで資金繰りが悪化するということも起こり得るといえます。
この資金繰りの悪化を防ぐために「一定期間は融資の返済をしない。」ことによって、キャッシュフローを改善できる場合もあるものでしょう。
たとえば、本来は毎月100万円の返済をしなければならない場合に12ヶ月間の据置期間を設定することで、
といったキャッシュを生み出すことができので「融資の返済を据え置く効果は少なくない。」といえるものです。
このように融資の返済の据置期間を設けていると、
「一定期間支出を止めることによるキャッシュフローの改善。」が得られることが大きなメリットだといえます。
すると「銀行融資の返済をストップできるなんて、いいことだらけじゃん。」
と感じることもあるかもしれませんが「それほどおすすめはできない。」という理由を挙げていきます。
据置期間中は新規融資が受けづらくなるから
融資の返済を一定期間据え置くことで、キャッシュフローが大きく改善するといえる据置期間の設定。
とはいっても、返済を据え置いている期間中は「新規融資が受けづらくなる。」といえます。
たしかに、コロナ禍においては据置期間中の融資を、
「もう一度据置期間を設定した新規融資に借換えることができた。」ということもあったものでしょう。
そして「その据置期間も借り換えた新規融資の方がより長く設定できた。」ということも少なくなかったといえるかもしれません。
ただ、このようなことは「コロナ禍においての特例中の特例だった。」と考えておくべきです。
通常の銀行融資対応であれば「据置期間中には返済実績がないので、銀行は新規融資を実行しづらい。」といえます。
銀行融資というのは「返済可能性と実際に融資の返済を行う。」という取引実績をつくっていくことで、新規の融資取引の可能性が高まっていくものなのです。
にも関わらず「据置期間中に新規融資を申し込む。」ということがあると、
銀行員としたら「この会社の資金繰りは左前になっているかもしれない。」と考えて、新規の融資は実行しにくい会社になってしまいます。
すると「そろそろ条件変更(リスケ)の対応をしていかなければならないのかもしれない。。。」
などというように「新規融資ではなく回収に走る。」という事態も起きてしまうといえます。
返済期間を長くすることでキャッシュフローを改善すべきだから
コロナ禍によって銀行融資の受けやすさは、
「いままでにないくらい簡単だった。」と感じることもあったといえるでしょう。
そして各銀行も「融資量を大幅に増やした。」というのが、コロナ禍だったといえるかもしれません。
そのなかでも「銀行融資は、簡単に据置期間が設けられる。」という認識を持った社長も少なくないといえるかもしれません。
とはいっても「据置期間というのは、あくまでも非常時の対応。」だと考えていくべきでしょう。
「では、通常時にキャッシュアウトを少なくした銀行融資の対応は何をすべきなのか。」
といえば「返済期間をなるべく長くする。」ということだといえます。
なので、銀行融資というのは「返済を据え置く期間を最大限活かす。」というのではなく、
「返済期間を長く設けて、月々の返済額を少額にしながら資金繰りを安定させていく。」ということを考えて対応していくべきなのです。
「銀行融資は借金だから、なるべく早く返してしまいたい。。。」と考える気持ちもわからなくありません。
ただ、融資の返済期間というのは「短くすればするほど月々の返済額が増えて、資金繰りは安定しづらくなる。」といえます。
だからこそ銀行融資の返済というのは、
「できる限り返済期間を長くし、返済実績をつくりながら銀行へのプラス評価を積み重ねていく。」ということをすべきなのです。
「銀行融資というのは1度受けたらおわり。」というものでもありません。
返済が進むことで銀行員の方から、
「返済が進んできたので、そろそろ新規融資を受けませんか。」といったような提案を受けることもあるものです。
「返済実績が新たな融資を生む。」と考えて、銀行融資というのは据置期間を設定するのではなく、
「返済を行なうことで新規融資の呼び水にする。」という対応を取っていくべきです。
まとめ
非常識が常識になる場合もありますが、あくまでも据置期間を長期間で設定するのは非常識だと考えていきましょう。
【おわりに】
いまもコロナ禍ですが、銀行融資については「フェーズが変わった。」と考えていくべきです。
【一日一新】
ヒヤマケンタロウの妊娠(NETFLIX) これはおもしろかったです。