決算日直前だからといって銀行借入を一括返済するのはやめるべき3つの理由

「そろそろ決算日だから銀行借入を一括返済するかぁ。」

などということはすべきではありません。


川の流れのように。


銀行借入があるのは気持ち悪いと考える


「年末が近づいてきたし。。。」

「決算日が近づいてしたし。。。」

「だから、この銀行借入は一括返済しておくかなぁ。」

などということを考える場合もあるかもしれません。

たしかに、銀行から融資を受けることで利子の支払いをしなければならなかったり、

銀行にいちいち決算書を提出しなければならなかったりで、

「そんな煩わしさから解放されたい。」という気持ちで「一括返済する。」と考えたくなる気持ちもわからなくはありません。

とはいっても「銀行借入が気持ち悪いから。。。」

などという理由で、銀行借入の一括返済などをすべきではないのです。



決算日直前だからといって銀行借入を一括返済するのはやめるべき3つの理由


それでは、決算日直前に銀行借入を一括返済するのをやめるべき理由を3つほど挙げていきます。

預金残高と信用が減るから

「銀行借入の返済をすることで減るものは何か。」

といえば、まずは預金残高が減ることになるでしょう。

たとえば、1,000万円の借入金を返済するためには1,000万円の預金が減ることになるといえます。

借入金 1,000万円 / 預金 1,000万円

「だけど、預金残高が十分にあるから一括返済しても資金繰りには問題ないんだよね。」

という理由で、一括返済をすることもあるでしょう。

とはいっても、減った預金残高を取り戻すためには、

「さらに売上を増やす。」といったようなことをしなければならないものです。

「いやっ、今回一括返済をしたことで銀行からの信用も付いたはずだから、いざというときにはまた融資を受ければいいでしょ。」

ということを考えるかもしれませんが「銀行側とすればそうは簡単なことではない。」といえるものでしょう。

銀行融資というのは「決められた期間に渡って返済をしていくことで信用が生まれるもの。」なのです。

また、銀行には重要な指標として「いくら融資を実行しているのか。」を表す融資量という数字があります。

この融資量を増やすために銀行員は日々営業活動をしているにも関わらず、

「一括返済をされてしまうと支店の融資量が下がるので、その取引先との取引継続のモチベーションが下がる。」といえます。

なので、銀行借入を一括返済するというのは、

「預金残高を減らし、銀行からの信用も減らすものだ。」ということを認識しておきましょう。

自己資本比率はそう変わらないから

決算日直前に銀行借入の返済をする理由のひとつには、

「自己資本比率を上げて銀行格付けを高くしたい。」ということもあるでしょう。

とはいっても、

「銀行借入を一括返済しての自己資本比率などというのは、騒ぐほどのことではない。」

といえます。

なぜなら、銀行借入を返済することで預金という資産も減らしているので、自己資本比率というのは、誤差の範囲でしか変わらないからです。

たとえば、資産1億円。負債7,000万円。自己資本3,000万円の会社で自己資本比率は30%(自己資本3,000万円÷資産1億円)の場合に、

1,000万円の銀行借入を一括返済した場合の自己資本比率は、

自己資本3,000万円 ÷ 資産 9,000万円 = 自己資本比率33.3%

ということになり、自己資本比率は一括返済前と比較して3.3%ほど増えたといえるでしょう。

「ほら、1割ちょっと自己資本比率が良くなったっしょ。」

ということを考えるかもしれませんが、

銀行員が行なう格付けの作業からすると「このくらいは誤差の範囲。」だといえます。

自己資本比率が上がったことで格付けが上がるポイントにはなりますが、

むしろ「この会社の預金残高はちょっと少なすぎないか。。。」ということで、

「融資の返済可能性に嫌疑がある。」と格付けに悪影響もあるものです。

このように「銀行借入を一括返済する。」

というのは、自己資本比率を上げる代わりに預金という資産を減らしていることになります。

なので「銀行借入を一括返済して自己資本比率が上がっても、現預金比率などの他の財務指標が下がり格付けは上がらない。」ということはあり得るといえます。

また、一括返済を受けていない他の銀行が決算書の勘定科目内訳明細書を確認して、

「あれっ、A銀行からの借入がずいぶん減っているなぁ。」

「何が不穏なことが起きていて融資を引き上げているのか。」というようなことを考える場合もあるものです。

すると、一括返済を受けていない他の銀行からの格付けもそれほど高くなくなり、他行からも新規融資が渋られるということも起きてしまうといえます。

新規融資が受けづらくなるから

「銀行借入を一括返済しても、また銀行から融資を受ければ問題ないよね。」

と考えて「決算書の見栄えを少しでも良くするために、銀行借入を一括返済する。」と考えることもあるものでしょう。

とはいっても、

「一括返済をして銀行からの信用を減らしてしまった会社には、新規の融資を実行するのに二の足を踏むものだ。」

というのが、銀行員が考えることだったりするものです。

銀行融資においては、担当者が優秀な方であればあるほど「うちの会社の味方になってくれている。」と感じることもあるでしょう。

というように「一括返済をした取引先でも積極的に支援をしたい。」と考える銀行員もいるものですし、

「うちの担当は、一括返済したことを忘れるくらいの親身な対応をする銀行員だ。」ということを感じることもあるでしょう。

しかし、銀行融資というのはひとりの銀行員の力だけでは融資実行には持っていけないものです。

「いやっ、うちの決算書は格付けが高いはずだから問題ないでしょ。」

と考えていたとしても、

「格付けなどの財務内容以外の面で融資の可否判断が行なわれる。」とういこともあるものなのです。

そして、その支店の銀行員や本部の銀行員の個人的な感情で、融資の実行が不可能になるということも少なくないといえます。

すると「銀行にとってはマイナスでしかない融資の一括返済をした会社。」というのは、

「この会社は、先日こちらが止めたにも関わらず一括返済をしたから今後融資は取り扱わない。」

「融資見送りだ。」

ということも起こり得るのです。

このように銀行にとって、一括返済というのは決してプラス評価にはならないといえます。

そのような事情を考慮せずに一括返済をしてしまうと、しばらくはその一括返済をした銀行からの融資が受けにくくなると考えておくべきです。

特に決算日前に一括返済をし、税金の支払期限近づいたからと、

「納税資金を融資してほしい。」などということは、言語道断でしょう。

なので、銀行借入の一括返済というのは「これから数年先はこの銀行からの融資は受けられない。」という認識を持ってすべきことだといえます。


まとめ


「借金は悪だからなるべく早く返済する。」

ということを考えすぎるのはよくありません。

少なくとも「決算だから銀行借入を一括返済する。」ということは、経営のやってはいけないことだといえますから。


【おわりに】

テレビゲーム総選挙の第一位は「ゼルダの伝説ブレス・オブ・ザ・ワイルド。」

わかるわぁと。

早く続編を発売してほしいです。


【一日一新】

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